COCと独立経営<637>自動車アフターマーケットとSS – 関 匤

先日、韓国からSS経営者の団体が来日して業界各所を訪問しました。どういうわけか私のところに「独立系の現状を聞きたい」と申し出があり、下手な話をさせていただきました。

韓国の事情を聞くと、いわゆる油外販売はやっておらず、ガソリン収益でまかなえているそうです。セルフはSS数で15%。少しでも価格を下げるために、政府が政策的にPBを増やそうとしているそうです。

私は話の中で、韓国に13カ所あるコストコが必ずガソリン販売を始めるであろう。それを想定して、利益事情を今から構築すべきと述べておきました。

日本のSS業界の利益事業について、こんな話をしました。

コンビニはSSと立地特性、業態特性からも非常に相性が良いと考えられる。ただし、流通系大手3社が長年にわたってシステムの完成度を高めており、新規参入は不可能で大手のFC契約に入るしかない。立地条件の合う家族経営の1SS店など選択肢が限られる。また、コンビニチェーンのブランド力は元売ブランドよりはるかに知名度が高いので、SSをコンビニブランドに統一した方が効果的と述べました。

他の流通系もチェーン本部が確立されており、独自参入者は難しい。むしろコンビニも含めて元売直営セルフが提携する可能性はあると話しました。

当面考えられる利益事業の方向性は、自動車アフターマーケットといういわば過去の延長線になりました。

元売はアフターマーケットのプログラムを持ちますが、系列SSで結果を出すところは独自の品揃え、販促、教育でやっているのが現実です。つまり、経営者や店長の才覚次第で結果を出せるということです。

逆にチェーン全体で利益を出すビジネスモデルが見えてきません。ディーラー、カーショップ、車販買取専門店、車検専門店などなど市場参加者はあまた存在します。しかし、コンビニに比べてチェーン全体の標準的なサービスが確立されているとは思えません。

消費者個々人によってニーズが多様であることが背景にあると思います。個人ごとに対応する非常に生業的なビジネスが、カーアフター市場の本質です。自宅で洗車するのが好きな人に、いくらお勧めしてもSSで洗車してもらえませんから。

そしてSSと同じく、アフターマーケットも高度成長期にビジネスモデルが出来ています。法人客や少しでも良い車に憧れる人たちがたくさんいた時代に成立しています。逆に、現在の若年層や40歳前後の“どしゃぶり就職世代”にミートしているかどうか疑問です。だからこそ、やる気のある中小企業経営者には市場に食い込む余地は大きいと考えます。

話の中で、COC村上理事長のカーケア業態を紹介しました。先日訪問した際にオイル交換を依頼しました。結果報告とともに作業内容と点検内容、点検結果のプリントアウトが渡されました。全ての作業でオープンから20年間やり続けています。

簡単なようで継続、徹底するのは難しいことです。しかしどんな世代であっても、信頼の証となります。こういうところにアフターマーケットの突破口があると思います。

 COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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