COCと独立経営<645>キャッシュレスの下克上 – 関 匤

COCの新年研修会が終了しました。毎回、様々な方々が交通費をかけて有償の集まりに参加してくれます。ありがたいと同時に独立経営者の熱意と研究心に頭が下がります。

今年は、中小企業経営にとって元売再編やガソリン価格はなるようになれ、どうでもいい話と考えています。前にも述べましたが、消費増税、働き方改革、キャッシュレスの3大テーマに全精力を傾注すべきです。中小なりに対応しないと経営が成り立たなくなりかねません。

研修会でもCOCメンバー共通の話題となり、懇親会や2次会で熱心な話の輪が出来ました。認識だけは共有できたと思います。

対応は個別企業の戦略、ビジネスモデル、行動、地域性によって様々になると思います。私が予感しているのは、3大テーマの対応を通じて、SS企業が業態の違いを一層明確にしていくことです。

対応には利益事業の開発が不可欠であり、二正面どころか多方面作戦になります。もはや元売再編など元売だけの社内問題であって、中小企業がかかずらわっている暇はありません。

とりわけPBにとっては、対応如何でPBとしての「ブランド力」を確立できる好機と捉えてほしいものです。今話題のスマホ決済ですが、COCの中で加盟店が増えています。セルフのガソリン決済は面倒ではありますが、知恵を絞っています。また、カーケアセンターや独自に飲食店を併設する場合はレジ決済機能として重宝しています。スマホのレジ決済が増えれば現金管理が減少するので、働き方改革にも寄与します。SSは消費者還元の2%だけですが、独自の中小小売りは増税時の還元5%、設備機器導入費用の3分の2補助、手数料の3分の1補助が受けられます。

飲食に詳しいライターと話をしたら、東京浅草橋に昨年オープンした「現金お断り」のパスタ店が好調で、2号店も決まったそうです。オーダーもスマホで行うため、金銭管理とともに業務時間が大幅に改善されています。店長にとって金銭管理が大きなストレスになっていたそうですが、余裕が出来たのでサービス改善やメニュー作りなど前向きな業務に時間を割けるようになったと喜んでいるそうです。

キャッシュレス化が増税対策と働き方改革のカギを握っていると感じます。私も気合が入ってしまって、先の研修会で“天祐神助を確信し(キャッシュレスに)全軍突撃せよ!”と号令してしまいました。

スマホ決済、デビットカード、非接触ICなどキャッシュレスの世界は群雄割拠です。「系列内競争」に堕した石油業界と違って、独自の利益構造を持つグループが登録会員と加盟店争奪に血道をあげています。凄まじい物量作戦です。そして彼らの共通のターゲットは中小企業であり地方都市です。COCの1SS店までどぶ板営業です。

最後発のPayPayが強烈な販促で3カ月で400万会員に達したのは驚愕です。

大競争は必ず様々に派生します。キャッシュレス市場が広がるとともに、利用客と加盟店にとっての「最適化」が図られるはずです。決済市場に君臨してきた都市銀行やクレジットカードの牙城を切り崩す下克上がすでに始まっています。その中で、SSも個々に業態を変えていく、変えざるを得ないと実感しています。

 COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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