COCと独立経営<656>FCじゃない“なんでもアリ”のPB – 関 匤

令和元年初日、5月1日の油業報知新聞の特集記事に愛知県一宮市の中村リビングサービスの中村賢三顧問の寄稿があります。

中村さんはCOC会員ではありません。それどころか、愛知県石商理事を長年務められた方です。地元のCOC会員を介して知己を得まして、お店にお邪魔したこともあります。

寄稿によると、同社は自由化後に外資系からPBとなりましたが、系列SS時代から独自の経営で名を馳せていました。カーウォッシュを主体にしているうちに、決して大型ではない敷地内に整備はもちろん喫茶店、園芸、野菜と多彩な商いを行ってきました。

私は同社を1SSの独立経営モデルと見ています。コンセプトは「なんでもアリ」です。そして中村石油は独自に事業を組み立ててきました。ここが肝心と考えます。

何年か前に中村顧問に電話したら、青果市場で仕入れ中でした。勘のない商売ですから、最初は失敗を重ねたはずです。

それが現在も継続していることは、失敗を糧に仕入れや品出しを身に付けたのだと思います。

現在、COC会員何社かの“マイブーム”が新車リースです。お陰でいろいろ勉強させてもらいましたが、リースも独自にやった方が事業の醍醐味が違います。

専門業者がFC加盟に動いていますが、真面目に事業化を目指すならばFC加盟は必要なし、が私の考えです。収益の美味しいところを本部に吸収されるからです。

FC本部の宣伝やネット予約システムに魅かれるかもしれません。でも、車検、中古車販売、保険、リース会社が揃っていれば、独自にやれます。リースはいきなり月に百台も売れるものではありません。宣伝やネット予約がなくても、今いる顧客の車検時買換えニーズを拾っていけばよいのです。

リースの美味しいところは、リース金利、新車調達、装備品にあります。FCを介さずとも、リース会社やディーラーとの折衝、装備品は市場が深いので純正同等品を相当安く調達できます。

度胸が必要なのは「残価設定」です。個人リースでトラブるのがここです。リース月額を値ごろにするには、期間中の総額設定次第です。リース終了時に幾らの価値があるかを算定して総額から差し引いた額を元に月額リース料を設定します。

しかし、残価設定を80万円としたのに終了時の査定が40万円ということがあります。杓子定規に不足分を顧客に請求すれば、契約時に説明していても、顧客は納得しません。車販は口コミの影響が非常に大きいので顧客トラブルはダメージになります。

COCの人たちは“自分で呑む”覚悟でやっています。もっとも中古車市場で売るとか、格安レンタカー、事故代車に使うとかで呑んだ分をヘッジするとかそれ以上に収益を見込めるケースもあります。

“なんでもアリ”で、容色衰えた美女を熟女系で再デビューするように(全く下品な表現ですが)車も使い道はいっぱいあります。

FC店長ではなく、オーナー感覚で地道に顧客対応していれば着実に増えていきます。

冒頭の中村リビングさんにも通じるのですが、ガソリン以外の何かをやるには損もするけれど長い目で見れば独自開発による事業化がキーワードと考えます。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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