COCと独立経営<659>「東京」がミスリードしている? – 関 匤

COCの通常総会が終了しました。全石連のマンモスに比べればノミのような組合組織ですが、SS経営者から出資金や会費を預かって運営しています。予算を使う立場として総会は緊張します。

2期4年の任期を終えた村上直之理事長が退任して、新たに木下星史新理事長に代わりました。木下理事長は第8代目であり設立30年の節目をまたぎます。

90年11月に設立総会を行った時は10人だったそうです。規制が強かった時代に、当時の通産省に製品輸入申請を拒絶された山口武夫さんが、不作為行為として通産大臣を相手に行政訴訟を起こしました。この裁判の過程で、当時の無印業者が組織的に異議を唱える必要に迫られて事業組合の設立に至りました。

面白いことに山口さんに組合設立を勧めたのは、被告側である通産省の課長だったそうです。敵対しながらも、石油流通規制の矛盾を衝く山口さんの原理原則論を、官僚自身も認識していたかもしれません。

COCが5周年を迎えた時、山口さんは細川政権下の“4人組スキャンダル”で通産省を追われた元資源エネ庁長官の内藤正久氏に声をかけて、記念講演会を行っています。行政に物言う山口さんは厄介な存在だった一方で、論者として一目置かれていたのでしょう。

さて、総会後の研修会で2日間、3人の講師にお話しいただきました。非常に面白い考え方と情報が提供され、初日の懇親会、2次会も盛り上がりました。

講演資料に私が目を引かれたデータがあります。Yahooが国交省と総務省のデータで作成した「電車利用度と自動車通勤・通学度」を都道府県別に縦横軸にプロットものです。

きれいに3つのグループに分かれます。バランスがとれてグラフの真ん中にあるグループが、大阪、京都、千葉、奈良など7府県。縦軸の上、自動車通勤度に蝟集するのが三九道県です。そして右下の電車通勤度に1人張り付いているのが東京都です。

これはSSや自動車を考えるときに、問題だなと感じました。政治家、官庁、元売、自動車メーカー、広告代理店、業界団体、マスコミが東京に集まっているからです。見識豊かな人たちがたくさんいると思いますが、日常的に車を使いガソリンを消費する人たちの実感できているのか疑問です。「東京」は特殊な環境にあるからです。

カーライフとは、一等地にフェラーリを飾る人ではなく、中古のカローラや軽自動車に乗る人たちが中心にあります。カーシェアリングやタクシーのマーケティングならともかく、電車移動している人たちが的確な政策やマーケティングを企画できるのかはなはだ疑問です。都心のオフィスで「給油過疎地」を語るのはパロディに見えてきます。まして、北関東のCOC会員SSで、2日ごとにワンコイン給油するキャバ嬢の心情など理解できるわけがありません。

Yahoo記事の見出しは「日本は二つの国からできている!東京の特異性」です。

これからのSSを議論するならば、群馬県渋川や茨城県笠間など自動車利用の最前線の人たちが語るべきでしょう。“異質な国”である東京がSSマーケティングをミスリードしてきたのではないでしょうか。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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