COCと独立経営<735> ポイント・オブ・セールスサービス ―関匤

SS業界を論評するマジョリティは「ガソリン価格論」が大好きですね。もちろん、マイノリティのCOCのSS経営者にとっても、売上げの大部分と利益を左右するガソリン市況には神経質にではありますが、しかし、論じて価格が動くものでもありません。それでもし価格が動けば、公取委出動とあいなります。

大事な商品であることを否定しませんが、SSは小売業とすればもっと考えることがたくさんあるはずです。「サービス・ステーション」ですから、どういうサービスを市場にぶつけてみるか、反応を見ながらどう精度を高めようかというのが小売経営ではないでしょうか。

無機質な炭化水素のガソリンに、よくもまあ多くの理屈が立てられるものかと感心しております。自由化前ならともかく、国内外に指標価格が連動し、卸価格はガラス張りになっています(事後調整がなければ)。市場価格もセルフとフルが棲み分けられ、もちろん地域の競合の高低はありますがそれは市場参加者たちの判断です。

最近思うのは、石油業界とは「ガソリン大事之命(みこと)」という主祭神を祀るガソリン神社ではないかです。副祭神には業転排除命、供給網(サプライチェーン)命、過疎地大変之命、市況誘導媛(ひめ)…等々錚々たる神様が並びます。そして、しかつめらしい表情の業界団体や霞が関のお大尽たちが参拝し奉納しています。

私の知る限り、1962年に石油業法が施行されていらい、約60年間、ガソリン神社への参拝が続いているわけです。しかしながらその間に、氏子(SS)がピーク時から半減して、客数(需要)も年々数%ずつ減っております。ガソリン大事之命ってご利益どころか災厄をもたらす祟り神ではないでしょうか。

先述のように、自由化以前ならば卸し価格がブラックボックスでしたから価格情報が価値を持ちました。フルサービスなので、作業動線に知恵を使って小さなSSで量販する面白みがありました。なにより石油危機以降「鎖国」にあったお陰で、ガソリン高の価格体系で系列・非系列問わず売るほど儲かることが可能でした。

しかし今は、ガソリン大事之命よりも「移動体之命」です。自動車ではなく移動体です。宣言するのが格好いいのでしょう、”ガ~ス~さん”含む世界の首脳が「2030年ガソリン新車廃止」の御託宣です。ポピュリズム的ではありますが、しかし、ご託宣のとたん電動車関連市場で毎日のように動きが起こっています。

日本電産の永守会長が「モーター需要の分水嶺は2025年」と発言しています。急激に需要が増えるという意味です。「30万円のEVが現れる」とも言います。そのために大胆に投資を行っています。世界中に無数の永守会長が出現しています。

COCは昨夏以来、毎月、ZOOM研修会を開催していますが、事務局の私の問題意識は「CASE時代のアフターマーケット」にあります。ガソリンはアフターのワンオブゼムです。

C=コネクテッドって誰が誰とつながるのか?AとE=無人運転と電動の整備はどうなるのか?S=シェアリングにSSがどう関われるのか?という単純な疑問だけでも考えることが山ほどあります。富士フィルムが「フィルム会社」でなくなったような、事業転換の渦中に入っているのです。

ということで講師の方々から見識をうかがいながら、何をどうするかは先に置いてもまずは変化を認識しておこうと考えています。

自動車関係者とZOOMで講演の打ち合わせをしたのですが、こんな話をしていました。「自動車メーカーはディーラーで車が売れなくなることを前提に戦略を構想している。電動車はテスラだけでなくグーグルやアマゾンなど無数の参入者がやってくるからだ。そこでディーラーを“ポイント・オブ・セールス”(販売所)から“ポイント・オブ・サービス”(サービス拠点)に転換させようとしている」。

ポイント・オブ・サービスという考え方を知っただけでも、いろいろ考えさせられます。ガソリン神社に参拝するよりもご利益をいただけました。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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