COCと独立経営<736>「給油連動業態」では一蓮托生 – 関 匤

2月3日付油業報知新聞に資源エネ庁統計で12月の燃料油需給が掲載されていました。ガソリンは前年比▲2.3%で「1年3カ月連続前年割れ」ということです。

誰が考えても、これからの経営戦略は「ガソリン売上げ・利益の縮小」を前提としたものとならざるを得ません。

また、油外商品も旧態依然の考え方では右肩下がりに沈んでいくでしょう。SSの油外マーケティングは、「給油時のワンストップ」として展開されてきました。今は余り見られなくなりましたが、水抜き剤などはその典型です。だから、顧客の懐に余裕があって需要が増えていたバブル時にはアルバイトが競って売っていました。

洗車、オイル、タイヤ、バッテリーも、給油来店時の声掛け、店頭POPなど告知物による来店客の認知が販売の入り口です。ガソリン減販=客数減少となれば、やはり一蓮托生となります。

オイルに関して驚きのデータを見つけました。GFKジャパンという調査会社が1万2千人の乗用車保有者を対象としたアンケートです。2015年でちょっと古いのですが、交換場所でSSの構成比は「9%」でした。

旧日本石油が1975年に行ったオーナードライバー調査を見たことがありますが、当時、SSチャネルの支配率は「70%」と記憶しています。90年代に「40%」まで落ちた時に“SSオイルの復権”が叫ばれました。セルフの影響もあるのでしょうが、アンケートとはいえ9%とは驚愕です。

SSがアフターマーケットの新業態として日本に登場したのは1950年代です。自動車の性能が低く道路事情が劣悪だった時代は、給油時に徹底点検が不可欠でした。給油イコール油外商品の購入から、SS業態は始まりました。

車が高度化し道路整備されても、給油連動業態と考え方が維持されてきました。これを本気で考え直す時に来ています。

給油連動でない油外アイテムは、車検、車販、レンタカー、鈑金といったところでしょうか。これらはとりわけ専門業態との競合がきつい世界なので、付加価値が高いぶん店舗の体制、技術力、商品力、販売促進など投資も必要です。本気で取り組む人とそうでない場合の温度差が大きいのが実態です。

元売レベルでは、コンビニ、コインランドリー、ファーストフードなどそれを目的来店する客数を呼び込んで、給油とのクロスマーケティングを考えているようです。

欧米で何十年も前に実証されているコンビニ業態は有力と思います。ただ、思い起こすのはセルフ前のバブル期に消防の取扱い商品緩和が出て、コンビニ併設店がたくさん出現しました。ほとんど残っていません。一時期、「コンビニとSSは相性が悪い」と言われました。

失敗の要因は、フルサービスとコンビニの二元管理になったこと、敷地が狭かったこと、セルフではなかったことなどハード要因によるものでした。そしてもう1つの失敗要因が、コンビニと企業経営とミスマッチであったことです。

コンビニは経営者イコール店長の自己労働自己搾取を前提に業態設定されています。店舗システムを使いこなし、オーダーや商品改廃(入替)、シフト管理と指導、業務割当て等々、店舗に経営者がいないと有効な判断ができません。サラリーマン任せでは思うように日販が上がらないと思います。

米国で1SS店が6割近く生き残ってきたのも、コンビニの加盟店(経営者店長)であることが大きいのです。日本のSSとコンビニの相性が悪いのではなく、「SS経営者との相性」に問題があったのです。

その点から、元売コンビニ業態はCA(コミッションエージェント)を採用する可能性が高くなると思います。コンビニの加盟店がガソリンも管理する方式です。

系列・非系列を問わず独立経営を志向する場合、元売型のハード投資には二の足を踏むでしょう。油外の高度化を考える場合にも、自動車の機能高度化が始まりました。ホンダは世界初の「自動運転レベル3」で新型レジェンドを3月末までに発売します。高速道路を読書しながら走行できるレベルです。自動運転でコネクテッドの世界も幕を開けます。油外でもテクノロジーの高度化にどう対応すべきか。

分からないので、COCではZOOM研修会を毎月開催して必死で光明を探ろうとしております。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局

 


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