COCと独立経営<739>CASEの時代の「ケイレツ」- 関 匤

COCでは集合研修会の代わりにZOOMで開催しています。理事会も行っていますが、すでに多くの方がご存知でしょうが、やってみるとなかなか便利なものです。

ホスト役の私の進行に問題はありますが、北海道から九州まで経営者が、随時、顔を出しながら語り合えるので、慣れるに従って重要なツールになるでしょう。集合型セミナーの場を提供してきたホテル・旅館、専門会議施設は、ZOOM慣れした人を惹きつける新しいサービスを開発してコロナ後に備えていることでしょう。

リモート会議の仕組みは、とっくに大企業とりわけ外資系では当たり前に使っていましたが、コロナによって一気に底辺が広がりました。ウーバーもコロナで一気に当たり前のサービスとして受入れられました。コロナ禍は世界の災厄ですが、生活の常態が変わったことで、無関係と思っていたサービスやシステムに接する機会を提供しています。

生活者レベルでは、感染と失業の恐怖からコロナ前と生活様式が相当変化しているでしょう。一方で、国や財界の声の大きい人たちの世界は依然として、昭和時代からの政府・官僚・諮問委員会・業界団体の「ゴールデン・スクエア」に安住しているように思います。

自動車も石油も「CASE」という移動体の価値観が大転する時に、依然として「ケイレツ」の垂直統合でものごとを考えているようです。

自動車メーカーは、CASEにともなって高度化するカーアフターサービスを系列ディーラーに引き寄せるという考え方と聞きました。正確なデータは出ていませんが、カーアフターマーケット市場の六割以上はSSはじめカーショップ、新中古車店、整備工場など汎用市場が担っています。これをメーカーの意のままにコントロール可能と考えているのでしょうか。

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元売も2030年に向けてのSSのビジネス構想に、EV給電、水素充填、カーシェアリング、コンビニ、コインランドリー、生活サービス等々を盛り込んでいます。実際に小売りサービスに手を汚したことない人たちが考えていますから、FCビジネスを引っ張り込むのでしょう。SSは場所貸しのスペース機能となり、そこに系列店が介在する余地はあるのでしょうか。

一方で、CASEとはITであり、日本の移動体変化ではなく世界の変化です。一九世紀の産業革命以上の地殻変動です。ITを担う人たちは「自動車のCASE」とは考えていません。「ITに車輪を付ける」と考えています。米国でGMやフォードではなく、IT産業であるGAFAが車を開発します。GAFAなくしてCASEは実現しないと確信しているのでしょう。

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自動車のIT技術は米国で凄まじい勢いで進んでいます。そしてGAFAの新技術戦略を見ていると、シリコンバレーはじめスタートアップ企業や国や学校を問わず先進的な研究者に網を張っていて、使えると判断したら無名の学生にポンと資金を出します。M&Aも失敗の数の方が多いかもしれませんが、向う傷を恐れぬ戦略です。

というのもGAFAが成長したのは「利用者という消費者」ありきだったからです。利用者が横を向けばGAFAは一瞬にして瓦解します。現実に、FACEBOOKの利益源である広告にウゼエという利用者が増えているそうです。そういう利用者の感性を敏感に受け止められるか、広告に代わる利益源をどう作り出すかを考えて、上記のM&Aや知財に投資しているのでしょう。

それとは真逆の「ケイレツ」がCASEの時代に何がどうなるのか。私は間違いなく消滅すると思っています。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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