COCと独立経営<742>予言書・20年前のCOC報告書 – 関 匤

COCが曲がりなりにも30周年なので資料を整理していますが、かなり散逸してしまっており、データ管理の杜撰さを反省する日々です。

データが見つかっても、昔利用していたマックPCと環境が違うために専門業者に依頼しても読めないものが多々ありました。

そんな中で、ほぼ20年前、2002年度末にまとめられたCOCの報告書が出てきました。02年度に当時の中村佐一郎理事長が「ウチも参加するぞ」と言い出したのが、資源エネ庁が補助金事業として行った「石油販売業高度化事業」でした。

企画を作れと言われました。考えたのですが、独立系の経営者は自己完結しているところがあります。元売のように営業マンが改善提案するとかサービスサーベイをしてくれる経験はありません。じゃ、この際に外部の専門家にやってもらおうと、経営、サービス、市場調査の3つのポイントで計画しました。

幸い認められたのですが、私だけの事務局なので大変な目にあいました。その時の報告書が残存データに見つかりました。担当した専門家の見立てをまとめたものです。

20年前の時点で、かなり正しく業界の先を見通した内容に驚きました。当時の私の認識の甘さに反省もしました。

まず冒頭に概略、「生成期、発展期、安定期、衰退期のライフサイクルで言うと2000年にSS産業は衰退期の入り口に立っている」とあります。根拠として、「95年を境に収益性の悪化が続いている。そしてガソリン需要の伸びが鈍化しており需要減少期が始まる。SS業界は価格競争を数多く経験したが需要減少は未経験の事態」として、「需要成長があったから効率の悪い元売や販売業者が存続しえた。しかし今は確実に淘汰の時代を迎えている」と述べています。

この当時、仕切りの系列と業転の格差は最低でも1L5円以上ありました。その現状に対して、外資3社が統合したエクソンモービルが今後のカギを握るとしています。「同社は積極的に資産と人のリストラを進めている。精製マージンが縮小しても利益を出せる体質づくりにある。当面は業転優位だが、EMは“ブランド・プレミアム”(格差)は1L2円が妥当と考えている。PBはいずれかの時点で仕入れのアドバンテージ縮小を覚悟すべき」としています。

その通りになっています。そして仕入れ優位性が無くなることを前提として、「10年で償却できない投資はしない。キャッシュフローと借入金のバランスを意識せよ。償却が終わって利益が出る、しかし将来性が低いSSと、今は利益は出ないが将来の伸びしろの高いSSのポートフォリオを考える。SS土地の現物出資、貸付金の資本参入をしてでも過小資本を改善せよ」など、バブル崩壊後の銀行融資姿勢の大変化を踏まえて提言しています。

この時点で、セルフSSは全国で2000カ所を突破して増加基調に入っていました。

COC会員は解禁時から積極的にセルフ化して、この当時は業転利益と量販のダブルの恩恵に浴していました。しかし、報告書はそこに冷水を浴びせています。

「(セルフの燃料販売にかまけて)価格、品揃え、店舗設備、接客サービスなど店の“価値”である店舗運営を観察すると、見事にバラバラ。運営水準に対する会社トップの意思がSS現場に一切反映されてない。顧客にとって独自サインポールがPBの価値ではない。ストアのトータルとしての“ブランド”を意識すべき」

酷評とともに、「PBのストアブランドを確立せよ」と提言されていました。現実にこの報告書が出て以降、PBの優位性は後退して立地・設備に優れた元売直営やハイパーが主導権を握ります。COCはあの補助金事業でもっとも先鋭的かつ予言的な結論を出していたと思います。同時にそれを有効に生かしきれなかった私の不明を恥じるところです。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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