COCと独立経営<764>SS業態は過疎地から変わる!? -関 匤

8月30日付の読売新聞の記事です。

「政府は、ガソリン需要の縮小で経営悪化が見込まれるガソリンスタンドの支援策を強化する。店舗を集約したり、自治体が整備して企業に運営を任せる「公設民営型」店舗を設けたりした場合に補助金を出す事業が柱だ。…コンビニエンスストア、飲食店の併設など、経営の多角化も促す。」(傍線部筆者)

SS過疎化対策です。SSが過疎化するということは、地域に需要=商圏がないからです。となれば補助金で維持するだけでなく、需要を作り出すことが不可欠です。

この記事の趣旨は、私が傍線を引いた部分にあります。すなわち、「店舗を集約」(商業集積)、「企業運営の公設民営化」、「経営の多角化」です。言い換えれば、一般的なイメージのSS単独店では需要を喚起できず存続維持ができないと、経産省が判断していることになります。

過疎地の廃止SSの復活事例として、宮城県七ヶ宿町や和歌山県すさみ町が話題になります。いずれも道の駅との併設・隣接です。七ヶ宿町は「七ヶ宿なないろひろば」といって、コミュニティバスターミナルと広大な駐車場があって、木質バイオマス燃料のスパ、カフェと図書館、ファミリーマート、移動食料品販売車にコスモ石油のセルフSSが複合されています。

経営の実態は分かりませんが、幾つもの集客軸を備えることで、過疎地と呼ばれる町にお客を呼び込んでいます。セルフSSは「ひろば」の1サービス機能となっているわけです。

「経営を意識した業態設計」で臨めば、SS過疎地なる場所に新たな需要が喚起される可能性を感じます。

「自家用車や農業機械への給油や移動手段を持たない高齢者への冬場の灯油配送などに支障を来すといった、いわゆる「SS過疎地問題」の顕在化が懸念されています。」(資源エネ庁HP)といった、「問題」とか「懸念」で物事を考えるよりはるかに健康的です。

「なないろひろば」のHPから画像を添付しますが、最近の米国大手コンビニチェーンの複合業態のイメージとダブって見えます。とくにコロナ禍から、米国コンビニはフードサービスの充実を進めています。出来合いのチェーンとの提携ではなく、オリジナル商品で競争しています。

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ここで気づいたのですが、コストコは過疎地にいいかもしれません。なにしろ倉庫店の商圏範囲が広いので、過疎化市町村まとめて面倒見てくれることでしょう。

資源エネ庁は市町村単位で過疎化を判断しています。しかし、SSという商業施設の物差しは商圏で見ないと実態は分かりません。給油だけでも北関東のように通勤者が多い場所では、道路上に市町村を超えた商圏ができます。ましてコストコ倉庫店なら、市町村どころか都道府県をまたいでしまいます。愛知県の中部空港店駐車場には三重や岐阜の車番が並んでいました。

総務省統計局の「国内移動状況」によると、新型コロナで東京都への転入者が減り、同時に転出者が増えています。19年度まで8万3000人以上の東京への転入超過が20年度は7500人へ大幅に縮小しています。コロナ鎮静化で再び転入超過になるのか、あるいは新常態として首都圏からの人口拡散が起こるのか興味があります。

給油から過疎地を考えても補助金頼みのケースしか出てきません。それよりも、地域ごと星野リゾートに丸投げすれば、集客だけでなく生活利便性が高まって都市部からの人口移動の引き金になるかもしれません。

なんか話が飛躍しました、既存商圏のSSよりも過疎地の方が消費者にとって魅力ある業態設計可能と考えた次第です。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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