COCと独立経営<555> 追うのは石油ではなく車と運転者-関 匤

すでに公表されていますが、JXエネルギーは直営子会社・ENEOSフロンティア(エネフロ)を再編成します。4月より19支店制から10の地域カンパニー制となります。
さらに、旧社名で存続してきた五つの子会社を統合あるいは解散して、SSや直売・卸事業をエネフロに一元化します。
カンパニー制の目的については、「直営SSの管理業務の効率化」と「大幅に権限・責任を委譲することにより採算意識の醸成と意思決定迅速化を図り自立運営により収益を最大化する」。
また、同社の子会社集約については「SSネットワークを効率化するとともに、当社と関係会社で重複している組織・業務を集約し、競争力を高めることにより収益力を強化する」と目的が述べられています。
言うまでもなく東燃ゼネラル石油(TG)との統合に連動した大きな動きです。JXとTGの直営SSは1つのネットワークとなります。
私の調べですが、JXではエネフロ以外にエネオスウィング、北海道エネルギー、Jクエストの直営子会社があってSS総数は直営だけで約1200カ所あります。調査できませんが、相当数のサブ店を傘下に抱えます。
片やTGは約210カ所と6分の1。不思議なことに直営SS数も新会社の両社社員数の比率にほぼ一致します。
元売直営販社は、出光とコスモがすでにカンパニー制で運営されています。昭和シェルは直営SS自体が少なく、軽量の地域販社です。それも中京圏で行われたように、販社を解散して特約店に移管する動きが見られます。TGの中央石販は旧ゼネ石時代に子会社の効率運営を目的に発足しており、直営SSで最もローコストと想像されます。
そして重厚であったJX直営が効率運営に転換することと、4月からTG直営とネットワークが重複することで直営SSで激しい構造変化が起こるはずです。
TG直営の内訳を見ると、110カ所前後がセブン―イレブンかドトール複合店です。これらのSS群は厳格なFC契約の縛りにあり、業務が標準化され手堅い収益源を持ちます。
したがって、TG直営の六割はJXTG下でも「残留確定」でしょう。一方、数が多いだけにJX直営SSの“間引き”が大きくなると考えられます。すべての元売で直営再編が加速するでしょう。
元売直営に対する皮肉を書いているのではなく、直営再編が新たなSS業界の第1ラウンドであるということです。元売直営が自らを痛めた上で、同じことが一般特約店に降りかかるでしょう。JXは明確に公表しています。「ネットワークの効率化」、「採算意識」、「収益力の強化」。
市場成熟=減販の流れが避けられない中で、元売は対特約店ではなく「対ネットワーク」に変貌するはずです。当面は、系列内の「椅子取り競争」が激化すると予想されます。その流れ弾を食らうのが、中小系列店とPBです。市場環境は今以上に厳しくなると考えておくべきでしょう。
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PBは唯一最大の利点である「経営の自由度」を発揮して、予想される系列SS再編の嵐に耐え抜く収益業態を確立してほしいものです。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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