COCと独立経営<569>自己破壊公言するRDシェルの変化対応-関 匤

石油連盟のガソリン販売実績で1一5月の累計を比較すると、5年連続で前年割れです。2013年比で5%強の減販です。5年間で市場規模が5%縮小したことになります。

先週からCOC会員間で「やばい」という話が飛び交っています。業転が入荷しないとか馬鹿高くなった、という話ではありません。前に中国、インドが国策としてEV(電気自動車)に舵を切ったと書きましたが、ドイツに続きフランス2030年までに新車を全てEVにすると公表しました。自分の代のうちに主力商品のガソリンが無くなる、という危機感が強まっているのです。

日本はトヨタが国策を誘導してきた感があり、EVではなくFCV(燃料電池車)を大々的にアピールしてきました。しかし早晩、FCVは無用の長物と化しそうです。最大市場の中国が2030年までに全車種EV化を掲げていますが、その前に2018年までに販売車種の8%をEVかPHV(プラグインハイブリッド)を義務付けました。世界の自動車メーカーは反発してますが、中国政府は今のところ既定方針を崩してません。

EV化の巨大な動きに対して、EVに背をそむけてきたトヨタも豊田章男社長がトップダウンで戦略転換して、米国からロボット技術の最高権威を招聘(しょうへい)して開発室を設置しました。一方、EVを推進してきた日産はノートe―powerの躍進もあって9月にリーフ新車種を発売します。自動運転を踏まえた自動駐車機能を持ちます。

自動車の激変で「ガソリンの世紀」が黄昏時を迎えつつあります。それに対して、欧米メジャーは将来のSS戦略に動いています。5月4日付ウォールストリートジャーナルによると、まず、エクソンモービルは低燃費車向けの新燃料を開発しています。BPは、国営石油会社独占から市場開放されたメキシコでSS買収する一方豪州でスーパーを買収します。従来のCVS業態に本格的な食料品販売を複合します。BP欧州では、15年前は燃料だけだったが、現在は半数の来店客が給油せずに食料品を買っているそうです。

RDシェルも小型スーパーにLNG燃料、充電設備を複合したSS業態を投入します。携帯アプリを開発して、ガソリンや食品のケータリングサービスもオランダで開始するそうです。記事の中で、シェルのリテール部門のトップ、イストバン・カピタニー氏の言葉が印象的です。「われわれは自分たちを破壊しようとしている。消費者にとって良いことは何であれ、われわれにも良いはずだ」。

消費者のためには、出来上がったビジネスモデルを破壊することをいとわずと販売部門のトップが明言しているのです。この人物は「ホットドッグの方が原油よりずっと安定している」と明言してはばからない方です。「ガソリン黄昏時」に事後調整云々を議論していて、“消費者のための変化対応”はできるのでしょうか。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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