COCと独立経営<579>零細店向けチャネル不在のままに- 関 匤

前回、JXTGがセブン―イレブン展開に合わせてCA(コミッション・エージェント)を採用するだろうと書いたら、同社はCA全廃だそうです。とんだ見込み違いでした。

CAは業界内で市況問題の元凶とされています。運営者はコミッションが確定しているうえに、増販インセンティブがあります。昨日まで石商で“安値撲滅!”を叫んでいた方が、CAになった途端に元売に小売価格値下げを要請すると聞きます。

困ったものですが、同時に、私はCAを系列関係の一つの着地点という見方もしています。自分ですべてを抱え込んで市場のリスクを負って赤字で経営するよりも、コミッションを上手に使って生活を維持するという考え方もあると思います。

何度も書きますが、米国ではSSの58%が1SS店です。そしてSS総数は日本に比べれば自然減と言えるほど低い減少率です。この背景には、1SS店がコンビニのFCあるいは石油会社のCAであるという実態があります。

SS企業のTPOに応じたチャネル戦略です。米国SSの過半数を掌握するNACS(コンビニ協会)のHPでもチャネルがきちんと定義されています。資源エネルギー庁も全石連も半世紀にわたって、「零細店が九割を占める販売業界」と言い続けてきたのですから、零細店が少しでも救われるチャネル政策があってしかるべきと思うのですが…。

COCのPB業者の本籍地を辿ると、その多くが元系列1SS特約店とかサブ店です。昔話を聞くと、TVのコマーシャルが格好良かった、外資のマークが欲しかったなど理由はさまざまですが、入ってみると1SSで頑張ってもグロスでしか評価されない、マークを揚げているのにサブ店は特約店の直売扱い、系列内序列があってSSの新設枠(かつて存在した規制)が回ってこない…等々に幻滅してしまいました。

ある時代までは、サブ店など零細企業の異議申し立ての手段として、マーク替えやPB化がありました。それも元売が13社あって6万近いSS数があった時代の話です。元売巨大再編下にあって、零細店の行き場がありません。商社の需給調整力が相対的に弱体化して業転の価格競争力が低下して、PBになっても仕切り面でメリットはありません。

しかも統合元売のブランドが一緒になれば、立地・設備に劣るSSのとう汰を促進するはずです。結局、さまざまな業態の販売業者が住み分けるようなチャネル政策が過去から現在まで不在のままで、販社や大手にSSが集約されていくという方向性しか見えません。

過去から零細店の多さを大義名分にして政策補助を引っ張り出したSS業界ですが、皮肉にも自由化以降零細店からとう汰が進んでしまいました。今は「SS過疎地問題」をネタにしていますが、零細店をダシに使いながら、実は本気で考えて来なかったからSSが無くなって騒いでいるのでしょう。

そして皮肉にも、過疎問題を解決しているのは石油業界ではなく自治体や地域住民という不都合な真実があります。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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