COCと独立経営<580>流通流動化とあるPBの廃業-関 匤

JXTGは“ガリバー元売”と呼ばれます(メガ元売という呼称もあるようです)。シェア1、2位の会社が統合したことは、池に大きな石を投げ込んだように波紋の輪を広げています。

とりわけ系列内では、昨日までの競合店が同居しながら系列内での立ち位置を考えざるを得ません。ましてブランドが統合されれば、個店の力で競争していたSSが、巨大なネットワークという“ふるい”に掛けられることになります。

PB市場も同様です。元売数の減少によって調達する業転は「元売管理業転」となり、PBの流通実態は「準系列店」です。対称価格から商社の個性が後退して、かつての仕入れの妙味が薄れています。

系列・非系列問わず、経営者はこの環境で企業の方向性を必死で考えています。元売の再編に比べて、流通業界の動きは散発的でしたが、上期だけでも統合、買収、系列の絞り込み等々の動きがありましたが、水面下の交渉が顕在化する下期以降はもっと動きが出てくると思われます。市場は流動化しています。

そんな中、設立時からCOCに参加してきた方から廃業のお知らせがありました。

50周年の節目に廃業ということで、2代目経営者として忸怩たる思いもあるでしょうが、案外さばさばしていました。SSがうまく売却できて、大固定費という思い荷物を下ろせたからです。

この会社は長らく系列にいました。創業時に全くもうからないので、京都の元祖PB経営者で現金商法を学び、実践したところ繁盛店となり一息ついたそうです。

しかし、80年代に第2次オイルショック対策で資源エネルギー庁が休日SS休業の行政指導を行います。これは週末書き入れ時の現金SSの死活問題であり、休日営業を続行したところ、元売が供給を制限したそうです。公正取引委員会に元売の行為を申告して注意処分を勝ち取りますが、その間、供給を維持するためにPBとなりました。

自由化時には早々にセルフ化を考えていたそうですが、相続問題が起こって時間を取られ、気が付いたら元売直営や有力店のセルフ銀座。そこでスタッフ給油の逆張りで対抗し、地下タンク対策にも投資しています。

しかし、セルフで立地・設備・価格が競争要因となり、さらに需要が伸びない状況が続き、そこにガリバー元売の登場もあって出口を模索していたようです。幸いにも売却できましたが、地下タンクの投資がここで生きました。よかったと思います。

ただし、本人が残念がっていることがあります。零細店のワンマン経営で、他人従業員の育成を怠ったこと。それによって次なる事業展開の戦力が乏しくなったことです。また、ワンマンゆえの思い込みから、業態転換という言葉をコンビニFCに入ること程度にしか考えていなかったことです。

仲間が災害に会えば、COCで一番多額の義援金を差し出す仁義に篤い方で愉快な人柄でもあります。長い付き合いだけに廃業は淋しいかぎりです。

 COC・中央石油販売事業協同組合事務局

 


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