COCと独立経営<599>市町村別括りのSS過疎地 – 関 匤

資源エネルギー庁が研究会などで世間に公表する資料で気になるものが幾つかあります。

「SS過疎市町村リスト」があります。資源エネ庁はSS数3カ所以下を過疎地と定義して、平成26年度末283市町村、27年度288市町村、28年度末302市町村と、SSの少ない市町村が増加基調にあります。これは品確法登録の実態ですから、そうなのでしょう。

北海道、和歌山、高知などでSS経営母体を設立して廃止SSを復活する動きも出ています。SSが無くて本当に困っている地域があることを否定しません。ただし、SS業態の特性を考えた場合、「市町村」の括りで考えることには違和感を覚えます。これ以前にも書きましたね。

私が住む首都圏郊外はSS過疎地ではありません。元売直営SSが地場業者を駆逐してしまったような、消費者にとって実にありがたい競争地域です。

さて、自宅から直線距離200㍍にSSがあります。至便な距離です。しかし、同SSがオープンして四半世紀、利用したことがありません。500㍍離れた他市のSSか、川を越えて4―5㌔㍍離れた隣県のSSを利用しています。私の行動が一番近いSSと反対方向に向いているからです。だから県や市の境界を簡単に越えてしまうのです。

私の1件は、すべてのドライバーに言えます。毎日、主人や子供の送迎に利用する主婦は自宅と駅の間でSSを利用するか、毎日買い物に利用するスーパー近隣のSSを利用することが多いでしょう。通勤で車に乗る人は職場の行き帰り動線上でSSを利用することが多いと考えられます。時速40㌔㍍の車にとって、市町村の区切りは意味がないのです。

ある地域でSSのない山間僻地は困っていると思いきや、実は日常行動として買い物や銀行や農協など所要で市街地に頻繁にあるのです。その都度給油しています。市街地のカーショップは秋の収穫で山間部に収入が入るタイミングでタイヤキャンペーンを仕掛けるそうです。

“SS過疎地”消費者の困惑にも、地域ごとに温度差があると思われます。

私が「市町村の括り」にこだわるのは、30年前まで揮発油販売業法時代にあった「指定地区」にオーバーラップするからです。過当競争回避を目的に市町村単位でSS新設と大規模改造を禁止しました。しかし隣接する市町村に新しいSSが出来て、指定地区の顧客が「地区外」に流出する現象が起こりました。市町村の指定が、かえって地区内SSの近代化を妨げる結果となりました。

過疎地対策を真面目に考えるなら、SSが少ない市町村の車の流れを読む作業が必要になるはずです。20年前にマクドナルドの店舗開発担当者は、郊外店舗立地調査で車の大きな流れがどこに向いているかを、平日・休日、時間帯別、車種別等々で実地調査していました。「交通発生源」という言葉を使って、市町村でなく広域に車の流れを追求していました。

役所に致命的に欠落するのは、マーケティング視点です。上記の某地域の例にあるように、過疎地の生活が過疎地内で完結しているわけではないのです。補助金でポータブル(可搬式、PS)を設置しても猫マタギされかねないのです。

 COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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