COCと独立経営<604> COCの激しい新陳代謝 – 関 匤

私がCOCに関わり始めて15年経ちました。その間に会員数は微増していますが、中身は3分の2が入れ替わりました。

退会者のうち廃業・事業売却は3割ほど、多くは社業多忙、経営者の病気等で参加できなくなった人たちです。一方、「面白くなくなった」という人もいます。「事務局が嫌い」と明言された方もいました(反省)。

面白くない理由は、ガソリンの話が少なくなったことです。

自由化前のCOCは、ガソリンの話が実にエキサイティングでした。まず、仕入れ先の選択肢が多かったことです。商社と直接調達以外に、数多くのブローカーが介在していて余剰玉のはめ込みをやっていました。

また、自由化後の数年は、原油安とデフレ経済で余剰が多く、さらに先物市場が開かれたことで仕入れソースも多様化しました。また、セルフ解禁前は、自己物件SSのレイアウトは経営者の才覚が発揮できました。小さな敷地でいかに流れを良くするか、1台当たりの接客時間をいかに少なくするか、作業スペースの有効活用を工夫していました。そのノウハウは大変なものがありました。120坪で700㌔㍑、灯油400㌔㍑、オイル1.5㌔㍑という“化け物”が実在していました。

さらにセルフ解禁当初は、元売が躊躇するのを横目に率先してセルフ化に踏み込み、業転安を追い風に大きな先行者利益を得ました。そういうガソリン販売の情報交換が実に豊富だったわけです。

私がかかわった頃は、セルフが300カ所を超えた頃でした。今は亡き流通コンサルタント・渥美俊一さんの著作に、日本初のセルフ業態であるスーパーマーケットが300カ所を突破した翌年に900カ所になったとありました。

300という数字が新業態拡大の臨界点と考えていました。実際に翌年、元売が積極参入して一気に1000カ所を超えました。

そして元売と製油所の統廃合が始まり、市場における元売直営SSの支配力が高まり、業転価格が価格指標の前後に収れんするようになっていきました。

COCには研究好きな経営者がたくさんいて、有志で4回の訪米を経験できました。行くたびに新しいプレーヤーが出現し、刺激的なビジネスモデルを目の当たりに出来ました。独立系としての差別化、業態革新を痛感させられました。

それだけに旧EMがカーケアを捨ててドトール、セブン‐イレブンのセルフ業態を始めた時は衝撃を受けました。ショッピングセンターやホームセンターの新規参入も増加しました。

さらにガソリン量販で鳴る会員が、新たな投資を農業に転換したことも驚愕とともに、潮目の変化を実感しました。相対的に独立系の競争力が後退するとともに、ガソリンが需要減少に転じます。

いつの間にかブローカーは姿を消し、業転も取引条件が整備されて、非常に小さなレンジの中で仕入れ価格を考える時代に代わります。セルフの本格化は、立地・設備・運営(価格)が決定要因となり、小型SSのレイアウト工夫の余地も縮小しました。

私は時代の過渡期にCOCにかかわりました。研修会のテーマや講師も変化対応して無い知恵絞って考えましたが、ガソリンの話が減って面白くないと思われたでしょう。

一方で、新規入会する顔ぶれにSS業界でない人たちが増えました。自動車関係が多く、彼らがいかにガソリンを欲しがっていたかよくわかります。SS油外の既存会員が刺激を受けて車販に本腰を入れる契機となりました。

独立系は判断が早いと思います。時代に柔軟に対応することで、COCに良い意味での新陳代謝をもたらしました。前にも書きましたが、系列は東京六大学、COCは東都リーグの入れ替え戦です。現在の理事長は、ガソリン全盛の時代には四部リーグの弱小でしたが、今は間違いなく一部昇格です。

渡米した会員に聞くと、行くたびに新業態が出現してチャンピオンが入れ替わっています。その主役はメジャーではなく独立系小売業者です。小売市場は入れ替え戦が本来の姿ではないかと考えています。

 COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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