vol.746『まだまだ様子見』

『10月の消費増税にあわせて導入するポイント還元策を巡り、ジェーシービーなど大手カード会社は、加盟店にかける手数料を制度終了後に引き上げる公算が大きくなってきた。政府は中小店の参加を増やすため、還元策の実施期間中は料率に3.25%の上限を設けたが、各社は期間終了後にこれを撤廃する見通し。手数料負担を懸念して中小が参加に及び腰になる可能性もある』─3月27日付「日本経済新聞」。

“やっぱりね”という気持ちと、“えーっ”という気持ち。“やっぱりね”の方はわかるでしょ。消費税還元キャンペーンに参加するためには、「電子的に繰り返し利用できる決済手段」、つまり、クレジットカードや電子マネー、QRコードなどが使えるよう、中小・小規模事業者は準備を整えなければならない。今回のキャンペーンを機に、どれぐらいの事業者が電子決済を導入するかわからないが、昨今の「Paypay」旋風にも煽られ“キャッシュレス時代に乗り遅れるな”という機運が高まっている。新規加盟店が増えたのを見届けたところで、決済事業者が“手数料を上げさせていただきます”と言ってこないはずがない。

経産省はもともと、還元キャンペーン終了後も加盟店手数料率の上限を3.25%以下にすることをカード会社の参加条件にしようとしていたが、カード会社が強く反発したため、期間終了後はカード会社の判断に任せることになったそうだ。また、キャンペーンに参加する事業者の端末費用の3分の1を負担させられることもあり、カード会社からは「費用負担が多く、収益が制限されているためメリットがどんどん小さくなる」との不満も漏れているやに聞く。カード会社にしてみれば、キャンペーン後にできるだけ早く採算の取れる仕組みに移行したいに違いない。いまは“手数料ゼロ”をうたっている決済事業者も、何年かすれば手数料を取るだろう。その時になって、「□□ペイは使えません」と断るのはなかなか難しいかも。

“えーっ”と驚いたのは、還元キャンペーンが始まる半年も前に、「そのあとは上げさせてもらいます」とのアナウンスがなされたこと。キャンペーンが終わってしばらくしてから、「実はしかじかの理由で…」と言ってくるものと予測していたのだが、早々と“衣の下の鎧”を見せるとはいかなる理由によるのか。ポイント還元目当てに、新たに加盟店になった事業者から「だまし討ちだ」などと文句を言われないために予告したのであれば良心的と言えるが、もしかしたら、カード会社は加盟店が急増するのを抑えたいのかも。

今年10月のキャンペーンに向けて、決済事業者はいま必死にシステム改修を行っているが、本当に間に合うかどうかいまだ見通しがたっていないとも報じられている。そんな状態の中、小さな食堂やガソスタまでもが加盟してもらわなくても結構です、むしろ有難迷惑です、と思っているんじゃないだろうか。あるいは、2019年度だけで2798億円もの税金をこのキャンペーンのために投じるうえ、さらに膨れ上がる恐れもあり、財務大臣が「大丈夫かよ」とぼやいたとのことだから、財務省が経産省主導で加熱するキャッシュレス化の動きを抑えるために日経にリークしたとか…。

日本でのキャッシュレス決済の割合が18㌫と低い理由として、治安がいいこと、偽札が少ないこと、国民の計算能力が高いこと、現金をいつでも引き出せることなどが挙げられているが、これって世界に自慢できることなんじゃないの?なぜ、紙幣や硬貨を使って買い物することを恥じなきゃいけないの?少なくとも、いまのGS業界には、手数料を払う余裕なんてほとんどないわけで、拙速ににキャッシュレス化した挙句、あとから手数料を引き上げられたらたまったモノじゃない。「コストコ」みたいにでかい会社なら、「アメックス」から「マスター」へ“マーク替え”して対抗するなんてこともできるかもしれないが、ウチみたいな零細PBスタンドなんて相手にされないだろうし…。ま、やっぱりまだしばらくは様子見ですな。

 セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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