vol.790『我慢』

今年のGWは“ガマンウィーク”なんだとか。とにかく、お出かけせずに家でじーっと我慢していてくださいというわけで、イベントは軒並み中止、観光地・行楽地はどこもかしこも閉鎖。書き入れ時に売上げがほぼゼロになってしまう諸々の業界から、「コロナよりも先に“自粛病”で殺される」との悲痛な叫びが上がっている。

一応、緊急事態宣言は5月7日までということだが、恐らく延長されるだろう。ちなみに、愛知県はすでに公立学校の休校を5月末までに延長している。このまま、外出自粛がダラダラ続くと、経済への打撃が拡大し、収入が途絶えたフリーランスから、営業再開できない中小事業主まで、日本は文字通り経済的に生死にかかわる危機水準へと向かうことになると、多くの識者は憂慮している。

「緊急事態宣言」という物々しい名称とは裏腹に、実際はあくまで「お願い」ベース。そのため、春の陽気に誘われ、海岸や公園に繰り出す人々を追い返すことも、「ソーシャル・デスタンシング」を守らないジョガーなどから罰金を徴収することもできない。そんなユルさを見透かしたように、「三密」なんてどこ吹く風とばかりにパチンコに興じる人々もいたりして、とうとう“お上をナメるんじゃないぞ”とばかりに、大阪府は休業要請に応じないパチンコ店を公表した。だが、むしろ“ここのパチンコ屋やってまっせ”と宣伝しているようなもので逆効果ではとの批判も。

そもそも、お上のほうは、公表したら、その先どうなる事を予測しているのだろう。さらし者にすれば、あとは世間からネットなどで“非国民”呼ばわりされ、やむなく休業に追い込まれるだろうと目論んでいたのだろうか。一方、それほどまでの“圧力”をうけてもなお営業を続ける店側には、どのような事情があるのか。

パチンコ台は1台40~50万円ぐらいするそうで、それを常に入れ替えなければならず、小さな店でも1億円規模の設備投資が必要なのだそうだ。当然のことながら、休業すれば資金繰りが悪化し、倒産してしまう。だが、そのような事情は、大なり小なりどんな業種にも存在する。むしろ問題は、営業を続ける店に客が押し寄せていること、つまり利用者側の事情だ。すなわち、隣の県まで車を走らせてでもパチンコをやりに来る人々は、本人が自覚しているかどうかに関わらず「ギャンブル依存症」か、それに近い状態に陥っていると専門家は指摘している。

ギャンブル依存症はれっきとした病気で、現在進行形の“病人”は、人口の0.8㌫程度とのことだ。比率としては少ないように見えても、概算すると若者から老人まで約80万人の対象者がいることになる。こういう人たちに「コロナだからやめなさい」と言っても、やめられないのだそうだ。平均的な依存症患者は、年間200万円ほどパチンコにつぎ込んでしまっているという。パチンコやパチスロの還元率はだいたい85%といわれており、計算上1年間で30万円はすってしまうことになる。構造的に、大半の依存者が借金漬けになり、それを取り返すためにパチンコ店に通うという悪循環に陥ってしまうのだ。

私はパチンコをやらないから、パチンコなんて「不要不急」の最たるものだと思っていたが、事はそれほど簡単なものではなさそうだ。病気の人に我慢を強いるのは酷な話だが、この機会に“治療”に取り組んでみてはとも思う。とにかく、いまは何事も「我慢」。ガソリン安売り依存症の店主にも「我慢」していただきたいが…。

 セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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