vol.813『コンピューターという生き物』

『東京証券取引所で1日起きたシステム障害による終日の株式売買停止で、失われた取引機会は2兆円超に上るとされる。翌2日には通常通り売買が再開したが、障害の詳しい原因は未解明のまま。個人投資家は「再発は許されない」と怒りの声を上げている』─10月4日付「時事通信」。

折りしもデジタル化推進を前面に掲げて新政権が発足した矢先のトラブル。何でも富士通が開発した「アローヘッド」というシステムの取引や市場運営に関する様々な情報を扱う二つの機器のうちの一つが故障したうえ、バックアップ用の機器に自動的に切り替わるはずが、うまくいかなかったらしい。“市場の信頼を損なう大失態だ”と轟々たる批難を浴びている。

目の前のモニター画面が突如真っ暗となり、うんともすんとも言わなくなる─。考えただけでも恐ろしい出来事だが、GS業界でこうした経験をした人は少なくないだろう。電気が供給されていれば、POSと計量機間を非連動にして、給油だけならできるかもしれないが、決済や集計はできず、下手をするとそれまでのデータが消失してしまうことだってある。日ごろのメンテナンスやバックアップの備えは必須だ。

ホームページで紹介させてもらっているとおり、すでに製造中止となっているリライトカード方式のセルフシステムの代替・後継機として「エルシーシステム」をリリースした。10年以上使用している現行機は、交換部品のほとんどが製造中止になっている。一番の問題は、システムを司るセルフコントローラーがダウンしてしまったら、にっもさっちも行かなくなってしまうことだ。そうなる前に、従来のリライトカード方式を継承しつつシステムを更新したいというコアなGS運営者からの要請に応えるために開発されたのが「エルシーシステム」だ。導入店からは“現行機がいつ壊れてしまうかと心配していたので助かった” “店頭で案内や説明する手間がないので楽で良い”との評価をいただいている。

もちろん、これからセルフ化を検討しておられる方たちにも、「エルシーシステム」はお勧めできる製品だ。
デジタル化は時代の趨勢だが、昨年、不正アクセス問題によってわずか3ヶ月で廃止に追い込まれた「セブンペイ」や、先月発生した「ドコモ口座」を使った預金の不正引き出しなどで、ネット決済の危うさも明らかになっている。そのため、オンラインを介さず、なおかつ釣銭の手間のいらない自社発券型のプリペイドカードやロイコカードなどのツールは依然一定の支持を得ている。

また、“信販会社や石油元売に手数料を払うなんてゼッタイいやだ”という一徹なGS経営者もまだまだいらっしゃる。そんな方々にも「エルシーシステム」はお勧めだ。いずれにせよキーワードは「ローコスト」。ネット決済の明るい面ばかり見るのではなく、リスクやコストもしっかり見きわめて、自分の店に最適なシステムを導入すべきだ。

「withコロナ」時代となって、人々のコンピュターへの依存度はますます大きくなっている。実際、経済のみならず政治も宗教も芸術も、コンピューターなしでは成り立たない世の中だ。コンピューターが人間社会を支配するという世界は、もはやSFではなく現実なのだ。ところが、この“生き物”は、他の生き物と同様、ある日突然、何の前触れもなく絶命してしまう恐れがある。蘇生することが可能だとしても、その間、それに頼り切って生活していた私たちは、大混乱、大損失を被ることになり、命を落とすことすらある。だからこそ、私たちはこの“生き物”の限界を見極め、次善の策を講じておかなければならないのだ。

 

セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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