vol.653『タイムズのアンケート結果』

時間貸駐車場「タイムズ」を運営する「パーク24」が、タイムズクラブ会員(約600万人)を対象に『ガソリンスタンド選びと給油』についてのアンケートを行なった。調査期間は2016年12月5~11日、有効回答者数は8,860名。それによると『GSを選ぶ基準』(複数回答)では75㌫が「価格」と答え、『よく利用するGSの形態』では72㌫が「セルフ」と答えている。もう少し詳細に見て行くと、『基準』に対して「ブランド」と答えたドライバーは20㌫だったが、スポーツカー所有者に限ると、38㌫が「ブランド」で選ぶと答えている。スポーツカーの多くはハイオク指定なので、特定のブランドのGSを利用する傾向の人が多いのかもしれない。まあ、実際にはほとんど変わりはなく、単なる思い込みに過ぎないのだが─。

一方で、「サービス内容」で選ぶ人は12㌫、「特典」で選ぶ人は8㌫に過ぎないという結果となった。複数回答なのだから、3割ぐらいはあるのかと思いきや、意外に少ない。相変わらず「土・日曜日はティッシュプレゼント」とか、「もれなく○○グッズがもらえる」なんてことを盛んにやっているGSもあるが、この結果を見る限り、あまりありがたがられていないようだ。元売からの“支援”があるからできることなのだが、改めて費用対効果を分析する必要がありそうだ。

『形態』について週に2~3回以上運転している人は、8割近くが、「セルフ」と答えている。運転頻度が月に2~3回以下の人では、「(セルフ、有人)どちらとも言えない」の割合が2割を超えている。あまり運転しない人は、近所にあるとか、出入りがしやすいといった要素の方が大切なのかもしれない。しかし、どの運転頻度の階層においても、「有人式」と答えた人は2割未満となっている。セルフが増えたといっても、その比率はまだ3割であることからすると、「有人式」の客離れは相当進んでいるように思う。

しかし、お客様というものはわがままなもので、「セルフ」と答えた人に『セルフ式GSで困ったことは』と訊ねたところ、「窓拭き等がない」が24㌫で最多となった。セルフGSが日本に誕生したのは1998年。その年に生まれた子が運転するほど時が経ったにも関わらず、依然として窓拭きサービスを求める人が多いことに少々驚いた。最近では有人GSでも窓拭きをしない店が増えていると聞く。もしかしたら、いまの時代、窓拭きは“新しいサービス”なのかもしれない。しかし、むかしのようにタダでやるのは馬鹿らしい。やるなら、小額でもちゃんとお金の取れる“商品”にすべきだと思う。

さらにアンケートでは『1回あたりの給油量』の調査もなされ、64㌫が「満タン」給油、金額指定する場合は「3千円以内」との結果が出た。ただし、年代別に見ると60歳以上で「満タン」が73㌫、20代では58㌫。「金額指定」と答えた人のうち、20代は「2千円未満」が3割を占めていた。やっぱり若者たちにとって、ガソリン代の負担は依然として重い。安いGSでこまめに給油する傾向は今後も変わらないだろう。少子化の波に歯止めが掛からず、人口は減少の一途を辿っている。これでどうやって景気回復ができるのかわからないが、とにかく、最も消費意欲のある世代がそれなりの所得を得られるようにしないといけないだろう。

ご承知のとおり、アンケートを行なった「タイムズ」は、カーシェアリング事業でも業界を独走している。市場規模は100万人を越え増加中だ。もはやマイカーなど持たず、必要な時に“チョイ乗り”するようなライフスタイルが確実に浸透しつつあるのだ。GSの油外収益はますます減少してゆくことになる。また、「タイムズ」は2020年までに車両台数を3万台にする計画とのことだが、もしそれがすべて電気自動車になるとしたら…。GS業界が安売りや物くれに明け暮れているあいだに、異業種からの“侵略者”が、冷静な分析を行ないつつ忍び寄ってきていると考えるのは大袈裟だろうか。

セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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