vol.661『長いトンネル』

5月25日から始まった読売ジャイアンツ(以下、巨人)の連敗がようやく“13”で止まった。今月9日、対日本ハムファイターズ戦で、先発・マイコラスが8回1失点と好投、何とか2対1で辛勝し、長いトンネルを抜けた。しかし、続く2試合にまた連敗、6月8日現在、借金は11に膨らんでいる。

高橋由伸監督2年目のシーズンとなる今年、巨人は日ハムの陽岱鋼外野手、横浜の山口 俊投手、ソフトバンクの森福允彦投手と、総額26億円とも言われる、初の“FA選手三人獲り”の大補強を敢行。ほかにも、元・楽天のマギー内野手、現役メジャーリーガー・カミネロ投手も獲得して、3年ぶりのリーグ優勝、日本一は射程圏内と思われていたが、ふたを開けてみると、FAトリオはほとんど役に立っておらず、現在リーグ5位に沈んでいる有様。

リーグ優勝45回、日本一22回を誇る“球界の盟主”の連敗は、他のチームのそれとは注目度が断然違う。マスコミも“あそこが悪い、ここが悪い”とかまびすしいことこのうえない。結果がすべての世界なのだから、何を言われても仕方がない。大抵は、監督の采配に非難が集中するのだが、今回の巨人の連敗については、チーム編成の失敗との見方が専らのようだ。

巨人は昨年から三軍制を導入したにもかかわらず、生え抜きの若手選手がほとんど育っていない。毎年優勝することが至上命題とされている巨人においては、欠点に目をつぶって一人前に育てるべく試合で使い続けるという余裕がない。期待されながら目が出ず、今年、日ハムに移籍した途端に覚醒した大田泰示の例はそのことを物語っている。親会社の過度の介入が、中長期的な展望に立ったチーム作りを阻んでおり、これが巨人の急速な弱体化を招いているというわけだ。

巨人が陥っている問題は、GS業界にも当てはまる。石油元売が相変わらず目先の販売量にこだわり、事後調整を原資に有力特約店に安売り販売をさせていることは、系列特約店の健全な育成を阻んでいると思う。無論、販売量が伸びるに越したことはないが“利益は調整頼み”の場当たり的な販売戦術では将来はない。その場しのぎの補強ばかりして、次代を担う戦力を育ててこなかった巨人と同様、事後調整が減らされたり無くなったりした途端、まったく稼げなくなってしまうということになりかねない。

とはいえ、どんな組織も“過渡期”が周期的にめぐってくるのであって、巨人の場合は、この2~3年がそうなのだと思う。こんな時に監督を引き受けた(させられた)高橋由伸には同情する。広島やヤクルトのように、15~20年に1回ぐらい優勝すればいいのなら別だが(失礼)、巨人はそういうわけにはいかん。一刻も早く優勝できるチームに立て直さねばならない。

GS業界も、長い長いトンネルの中にある。もう出口なんか永遠に見つからないんじゃないかと思えるほどだ。少し市況が上向いてきたかと思うと、すぐまた泥沼にはまり込む。業界は過渡期を過ぎて、とっくに“低迷期”に入っているのだが、まだ過去の成功体験にこだわっているように見える。だが、以前はホームランになった打球が、いまではフェンス前で失速し平凡な外野フライになってしまうという“感触”をだれしも感じているのではないだろうか。やがて、外野へ飛ばすことすらできなくなってしまうかも。そうなる前に、安売り競争をやめて、次代を見据えたチームづくりを計らねばならないのだが…。

ところで、巨人ファンの端くれとして私が提案したいのは、今年は優勝はおろかクライマックスシリーズ出場も諦めて、いまファームにいる若手選手をどんどんスタメンで起用してほしいということ。何連敗してもいいから。目先の勝利を捨てて、いま種をまけば、誓い将来必ず大輪の花を咲かせることになるだろう。

セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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