vol.705『オーナーはつらいよ』

『「セブン-イレブン・ジャパン」の加盟店を経営する福井県の男性が、今年2月に豪雪の中で長時間の営業継続を強いられたと訴えていた問題で、同社の本部(東京都千代田区)は20日、男性に謝罪したことを明らかにした。担当者が店舗を訪ね男性に「うまくコミュニケーションが取れず、反省している」などと伝えたという』─4月20日付「毎日新聞」。

このニュースの背景をもう少し詳しく説明すると、50代の男性オーナーは2月6日の午前3時半ごろ出勤すると、他の店員一人にレジを任せ、自分は駐車場の除雪を始めた。同6時頃には奥さんも除雪に加わり、駐車場で動けなくなった客の車15台以上の救助に追われたという。疲労困ぱいのうえ、客も通常の三分の一程度だったため、一時閉店をセブン本部に要請したものの同意が得られず、店の屋根から雪が落ちて客が怪我をする危険もあるとの訴えにも担当者は、「けがをしても仕方ないから店を開けておくように」、「けがしたら保険対応すれば良い」と答えたという。

その日の深夜になって奥さんが体調不良を訴え、店の床に段ボールを敷いて横になったが、容態が悪化したため119番通報。駆けつけた救急隊員に同行するよう求められたが、店番する者がおらず、「勝手に閉店すれば契約解除される」と恐れたオーナーはそのまま店番を続けた。しばらくして本部側の担当者がヘルプでかけつけたものの3時間程度レジ番をしてくれただけで、その間に、病院へ妻を見舞ったり、自宅の雪かきをしたりで、結局、約50時間不眠不休で店番をしたとのことだ。

とにかく想定外の豪雪だったので、コンビニに限らず、当該地域の各種店舗は大混乱だったと思う。そのような非常事態では、経営者が先頭に立って対処しなければならないのも確か。しかし、この話はあまりにも悲惨だなと思う。“オーナー”とは名ばかりで、結局契約社員だったということか。だとしても、自分や家族の命が危険な状況でも店を開け続けなければならないとは。しかも、それほどの犠牲を払ってでも売らなければならないものが、コーヒーやおでんやおにぎりやタバコや週刊誌では…。

セブンが加盟店に配布している災害対応マニュアルでは「営業継続の可否の判断は、人命安全を最優先にオーナーがする」と規定しているそうなので、今回のケースはオーナーが本部に断らずとも勝手に閉店して、事後報告すればよかったんじゃないかとも思うが、実際はそういう訳には行かないんだろうなということはおおよそ察しがつく。

一方、この時の豪雪で福井県内の約4割のGSが休業せざるを得なかった。油槽所にはたっぷり備蓄があったのだが、それをGSまで運ぶタンクローリーが雪で立ち往生してしまったからだ。福井県内の国道で何百台もの立ち往生しているトラックや乗用車に、自衛隊がガソリンや軽油を補給している映像を見ながら、「これが全部EVだったら車中の人は凍死だよな~」なんて不謹慎なことを言っていたが、福井県や石川県の人たちは、食料や燃料などが枯渇する中で、本当に生きた心地がしなかったことだろう。

GS業界では、今回のコンビニのように、元売の許可を得なければ閉店できないというようなことはいまのところはないだろうが、今後、元売の統治力が強まってゆくかもしれない。営業時間や販売価格、商品メニュー等が画一化されてゆくかも。ただし、そうなれば市況は安定するだろうから歓迎すべきか。むしろ、安定供給と謳っておきながら肝心な時に商品が届けられない配送体制をどうにかしてほしいものだ。店を開けたいのに開けられないのもつらいことなのだから。それはともかく、今回のコンビニオーナーご夫婦には敬意を込めてお疲れ様でしたと申し上げたい。

 セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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