vol.762『タピオカドリンク』

名古屋市を代表する商店街「大須」。秋葉原と原宿と巣鴨を一緒くたにしたような所で、約1200の店が軒を連ね、来訪者数は平日で3万人、日曜祝日は7~8万人にもなるという。いま、この商店街で新たな問題が生じている。それは、「タピオカドリンク」の放置ゴミ問題。商店街に30を超えるタピオカドリンクを提供する店があるそうで、購入する客の大半が、透明のプラスチック容器に太いストローを突き刺して、チューチューしながら商店街をぶら歩き。そして、飲み(食べ)終わった容器はというと、自販機の空き缶入れや、タピオカと関係のないお店のゴミ箱、さらには路上にポイ捨てされるというわけで、週明けには商店街の至る所にタピオカ容器が散乱しているのだという。同じような問題が渋谷や京都でも起きていて、空前のブームの影で商店街の人々を悩ませている。

タピオカドリンク、召し上がったことありますか?台湾発祥の飲み物で、アイスミルクティーのカップの底にキャッサバのでんぷんで作られたモチモチしたボール(カエルの卵みたいなもの)がいっぱい入っていて、これを太目のストローでミルクティーと一緒に吸い込む。ずいぶん前からあった飲み物だが、これがなぜか最近大層な人気で、店を出せば行列ができるという有様だ。しかし、捨てられている容器の中には、食べ残したタピオカが入っている物も少なくなく、“本当は嫌いなのか?”という声も上がっている。個人的にも、そんなにうまいものだとは思わないし、並んでまで飲みたいとは全然思わない。やはり、昨今の“インスタ映え”狙いの衝動が、人々、とりわけ若者たちをこの風変わりな飲み物へと駆り立てるのか。最近、JKのあいだでは、タピオカドリンクを飲むための“マイストロー”の可愛さが競われているらしい。はは…。

とにかく、何を食っても飲んでも勝手だが、ゴミの始末はちゃんとしなくちゃね。“全国タピオカドリンク商業組合”があるんだったら、直ちに啓蒙ポスターと専用ゴミ箱を商店街に配布・配置すべきだと思う。ブームに目をつけたコンビニ各社が、タピオカドリンクの販売に力を入れだしたとのことなので“タピゴミ”はますます増えることだろう。GS業界にもその影響が及ぶことは間違いない。「ゴミを捨てないで」というプレートを掲示するのは逆効果という説もある。“ここにゴミを捨てる人がいる、じゃあ私も捨てて良いか”と思わせるのだという。どういう精神構造じゃ!と思えるが、とにかくそういうものらしい。結局、日に何度も点検して、1個でもゴミを見つけたらすぐに回収し、ゴミを捨てづらい状態を維持するよりほかないようだ。

セルフスタンドがなかった時代、吸殻をはじめ、いろいろなゴミをスタンドが引き取ってくれていたので、ゴミが捨てられないことに戸惑う客も多かった。また、セルフになってもゴミ箱を設置する店も少なくなかったが、近年は、ゴミ捨て一切お断りの店が増えているという。さもありなん。お客のマナーの悪さに辟易し、人手不足も相まっての措置だろう。自分のゴミは各自持ち帰って、所定の場所へ捨てる─当たり前の事をしてもらうだけのことで、申し訳なく思う気持ちはさらさらない。

特にプラスチックゴミの問題は深刻で、世界の海に存在しているプラゴミは1億5千万㌧。そこへ少なくとも毎年800万㌧、ジャンボジェット機5万機相当のプラゴミが流入していると推定されている。(WFF調べ)それらが分解され微細化し、海洋生物の体内に蓄積され、最終的に発がん性物質として私たちの胃袋に入ってくるという“負の食物連鎖”がすでに始まっていると警鐘を鳴らす科学者もいる。最新の研究では、世界の食卓塩の9割以上にプラゴミが混入しており、アジアの汚染が最も深刻だという。“撒いた物を刈り取る”とはまさにこういうことを言うのだろう。

 セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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