COCと独立経営<665>サブ店はVCなのか – 関 匤

COCの某PBは昔、系列サブ店でした。PB化の理由はともかく、現在は高収益店となっています。ここ数年、何社かのサブ店経営者が訪ねてきて相談されるそうです。そして、昔のサブ店と現在との置かれた立場に違いを感じています。

COCのPBがサブ店の頃は、特約店担当者に元売担当者が帯同しての訪問が多々あったそうです。その時に、元売の販売方針、他地区のケーススタディあるいはこの商圏をどうしたいまで話が聞けたそうです。

しかし、最近のサブ店の話を聞くと、情報遮断を感じています。「単なる勉強不足ではなく知らされていない」とPB経営者は言います。もちろん訪問するのはサブ店のごく一部です。しっかりとしたサブ店支援体制を持つ特約店もあるでしょう。

ところで2、3年前、資源エネ庁の報告書に「ボランタリーチェーン(VC)」という言葉が出現しました。

VCはコンビニに象徴されるフランチャイズ(FC)と対極に位置します。FCは本部統制と契約順守が大原則となります。安いからと本部以外の問屋から仕入れたら違反行為となります。代わりにFC本部は店舗システム、商品開発、販促支援などマーケティング機能で加盟店に利益をもたらす義務があります。

一方、VCは拘束的な関係ではありません。加盟店は独立経営です。VC加盟することで、自己調達できない商品を仕入れることができます。中小のスーパーが加盟する全日食チェーンが代表格です。中小スーパーの場合、生鮮に強くても加工食品の品揃えが弱いとかその逆のケースがままあります。そこを補完するのはVC本部です。

資源エネ庁は、SSがゆるやかに連帯しながら収益業態化するという意味でVCという概念を使ったのでしょう。

しかし、SS業界にはすでにVCが存在しています。特約店とサブ店の関係です。サブ店の代わりに特約店が石油の仕入れ機能を果たします。サブ店は独立経営なので、特約店とは拘束的な関係にありません。

このVCは、高度成長期に元売ブランドを全国普及する上できわめて効果的でした。特約店が地域で用地を持つ候補者を探し出してサブ店起用しました。社有新設予算が限られる元売にとって、有効なネットワーク拡大策でした。

しかし、SSのVC関係は1970年代央には軋み始めています。古い新聞を見たら、76年に北海道で特約店を異にする日石サブ店20社ほどが横断的な組織を作って、待遇改善を求めています。他地区では系列を横断したサブ店が、ガソリン共同仕入れを視野に独自VC化しています。

もちろん系列崩壊の危機ですから、元売と特約店が“一本吊り”で解散に導きました。

サブ店が反乱したのは、同一商圏で特約店直営と同居しながら、仕切り価格や販促支援など待遇に差が生じたことです。垂直型流通と市場の実態に矛盾が生じました。

40年前にサブ店流通に一石が投じられていました。現在は何がどう変わったのでしょうか。元売にとってサブ店は「特約店の直売先」という話が平然と語られます。元売が今後のSS業態構想を出しますが、好立地の大型セルフSSを前提にしたものです。サブ店に象徴される中小規模店にスポットライトを当てたVC本部は登場しないのでしょうか。

現状のままではサブ店流通は自然消滅に向かい、SS過疎化なるものは続くでしょう。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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