COCと独立経営<677>東京市場がCASEの実験場に? – 関 匤

消費増税、台風のダメージと天候不順が重なって、10月のガソリン販売はかなり落ち込んでいるようです。

SSは給油を起点にアフターマーケットが始まるビジネスモデルなので、客数の減少は付加価値も一蓮托生になりかねません。

というのはマクロの見方であって、個々の商圏単位に見ると違った光景が見えてきます。COCで複数SSを経営される方によると、岬を隔てたとたんに前年比を上回る場所があるそうです。釣りのポイントのように小さく商圏を見ると、伸びている場所が全国にあります。

以前にも書きましたが、東京はそれ以外の商圏に比べて“異常なマーケット”と考えています。私が都内を移動して思うのは、車も電車も使わずに歩いた方が早い場所がいくつもあります。黒い車に乗って短い距離を移動する某業界の役員には理解できないと思いますが。

高層ビルが陸続と立ち上がる東京は、もはや自動車市場ではないと極論が喉元までせりあがってきます。そしてガソリン市場のさらなる転換は東京で発生すると考えています。東京の市場をあらためて検証します。

一般財団法人自動車検査登録情報協会によると、東京都の乗用車台数(7月)は316万台で全国シェアは5.1%です。ガソリン販売量は石油連盟統計で全国シェア9..6%です(8月)。屈指の大市場です。ここが今盛んに喧伝される「CASE」の主要舞台になると思います。

CASEは、ICT端末を介してビッグデータとつながる(C)、自動運転(A)、シェアリング(S)、電動化(E)の英文頭文字の造語です。

このうち東京で現象が顕在化しつつあるのが、カーシェアリングです。実はカーシェアリングは東京の現象といって過言ではありません。

シェアリングの情報サイトによると、今年6月で主要6社のステーションの37.9%が東京都にあります。車両数は12198台で36.7%とほぼ4割が集中しています。シェアリングは50人で1台を使うサービスなので都内で60万人強が利用している計算になります。

東京都内の免許保有者数は800万人ですから、7%強がシェアリングを利用していることになります。統計によると、シェアリング利用者の60%が20~39歳以下だそうです。上記の60万人の60%は36万人です。東京都の同年齢の免許保有者で割り返すと13%になります。今この時点で新しい免許取得者がこの数字に上積みされています。

日本一高い駐車場に90%以上の時間を停車させているくだらなさに消費者が気づいています。カーシェアリングは流行のサブスクリプションモデルです。数万円の駐車料金を払って、車検、自動車税、ガソリン代、メンテナンス代を払うより、月額1000円ほどでガソリン無料のうえ給油すれば15分のアドバンデージを得られるのがシェアリングです。

賢く使えば月に10000円でもけっこう走れます。私が東京都民なら保有からシェアリングに変えます。

さらに、東京23区内では1日の移動距離が最長でも50km以内でしょう。ならばCASEのE、EVが航続距離で間に合います。ガソリンでやっている15分アドバンテージを流用すればパーク24駐車場で充電できます。ビル駐車場の片隅でも給電できます。

トヨタがEVに舵を切りディーラーすら再編する時代です。東京五輪の政治的思惑も絡んできたら、東京の「ガソリン10%市場」はCASEの巨大な実験場になりそうな予感がします。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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