COCと独立経営<679>増税減販とCOCのキャッシュレス – 関 匤

この春あたりから小売業界の動きを見ていて、かなり消費増税を意識したものを感じていました。

飲食ではステルス値上げを感じていましたが、キャッシュレスを意識した動きも活発でした。アプリでポイントや商品値引きサービスを充実したり、やはりアプリですが居酒屋チェーンがサブスクリプション(定額払い)で呑み放題サービスもありました。「2014年の悲劇」を事前に回避しようと必死で事前対応をしていると感じました。

それでも、10月は消費増税の影響が相当出たようです。SSはガソリンがかなり減販していると思われます。石連統計で燃料油生産量を換算すると2018年比で4―5%、17年比で8―9%減少と推測されます。それでも余剰が出ているのか、燃料油輸出量は17年、18年比で20%以上増加しています(あくまで私の推測ですが)。おそらく10月の販売は前年を割っているでしょう。

ちなみに、そのせいではないでしょうが某COC会員が面白い写真を送ってきました。価格志向の有力PBに、元売マークのローリーが入っていました。

ガソリン販売に直結する自動車販売ですが、自販連の新車販売統計が出ています。10月は普通小型乗用車は前年比72.5%、軽乗用車は79.6%です。自動車業界は青くなっているでしょう。

自動車で全てを言えませんが、小売業界も事前対応にもかかわらずへこんだと思います。駆け込みでトイレットペーパーを買い溜める消費者をバカじゃないかと思っていましたが、一事が万事で全般的な動きだったと認めざるを得ません。

それと政府のキャッシュレス対応が実効していません。消費者心理に反映していません。何回も書きますが、経産省の登録事業者や加盟店登録業務は明らかに不作為であったと思います。これから問題になるでしょう。

近くの小さな書店に行ったら、加盟店登録が遅れていて、政府が約束した決済端末のめども立たず対応できないと嘆いていました。霞が関の「バカ基準」と、たぶん彼らが言い出すはずですが「想定外の申請」によって事務手続きが混乱しているのでしょう。

とはいえ、勇猛果敢に膨大な書類申請に挑戦して登録事業者を得たCOCの独立経営者はキャッシュレスに手練手管を発揮しています。

営業妨害になりかねないので具体的には書きません。ただ、登録された事業者から寄せられたメールを紹介します。

「元売系列大手が広域戦(安値や販促の絨毯爆弾)を仕掛けてくるなら、(キャッシュレス補助を最大活用して)顧客一人ひとりに問いかけてリピーターを作る地域戦、小規模戦で戦います。まあベトコンの心境です。小手PBにしかできないミャンマーの少数民族「ロヒンギャ戦略」をどんどんやっていきます。」

ベトコンとかロヒンギャが出てくるように、PBの大部分は零細店です。ただし、元売や石商の“小姑”から距離を置いて経営の自由度があります。小さな商圏で生きているだけに、顧客の顔がよく見えます。キャシュレス還元も丁寧に告知できます。

米国の流通最大手ウォルマート創業者のサム・ウォルトンの有名な言葉に、「小さく考えよう」があります。キャシュレス還元で小さく知恵を絞り小さく告知しながら顧客に浸透させて、12月商戦で爆発させてほしいと熱望しています。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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