COCと独立経営<696>コロナ禍不況でCASE前倒しの予感 – 関 匤

現在の地球は目に見えないウィルスを中心に回っています。

20日のニューヨーク市場でダウ平均がトランプ大統領就任時のレベルを割ってしまいました。連休明けの日本市場も下げで始まるでしょう。原油相場はWTIが20㌦割れ寸前まで下がりました。アジア通貨危機とロシアデフォルトの90年代末のレベルです。

最大の石油消費国である中国の1―3月需要が前年比四割減という予測が出ています。消費減退の中で3大産油国の増産戦争です。米国がサウジ協調を呼びかけ、テキサスでも自主減産の報道が出たことから19日は25㌦まで戻しました。上げ基調になるのか、利益確定売りによる上げなのか分かりませんが。

1カ月で原油価格が半値になりました。先週の元売仕切り通知は九円安です。仕入れの下げに小売り市況が追いつかない状況となり、皮肉にもSSマージンは大幅に改善されています。系列SSでL20円、PBの中には30円以上のSSもあります。

しかし、3月の給油客は目に見えて減っています。COCで何人かの経営者に聞いてみたらガソリンで10%前後の減販、逆に灯油は増販でした。「出歩かないからガソリンが売れない。出歩かないから灯油が売れる」です。

◇  ◇

日経新聞が主要企業の在宅勤務状況を調査したら50%とありました。大企業で1万人前後の社員が出社しない=移動しないということです。3月中旬から少し人が戻ってきたかなという感がありますが、ある大手企業に電話したら相手が出るまでコール音7回でした。

移動大幅減は消費には大打撃です。SSは粗利増ですが客数減です。これから灯油が無くなるので楽観できません。まして生鮮を仕入れる飲食は可哀そうになります。

大企業の3月決算も、移動激減の直撃を受ける航空、ホテル、リゾートなどを筆頭に、百貨店、衣料、エンターテイメントなど厳しい状況です。一方、医薬品は当然として、スーパー、コンビニ、ディスカウントショップ、ネット通販は「移動しない恩恵」を受けているようです。

◇  ◇

定時に社員が出社しなくても会社が回ることが証明されたと、ある商社の方と笑い話になりました。

しかし、不景気が長期化すれば本当に出社に及ばずになるかもしれません。私は中期的な予定が前倒しされる可能性を考えています。人が介在しないシステムや機器の前倒し投入です。SSに関係するところでは、自動車のCASEとMaasの前倒し進行です。

国交省は2025年には高速道路限定でも無人運転開始のシナリオを描いています。車検制度も無人運転前提に改定されます。運送ではホワイト物流で2頭立て車を走らせ、高速道の無人実走実験でも成果を出しています。

また、AIのMR(仮想現実)もトヨタが整備に導入できるまで完成度を上げています。建設やコールセンターなど様々な業界で試用段階にあります。

従来は役所が研究会で調整しながら難しい問題を先送りするのが定例でしたが、さまざまな将来計画が前倒しで動くのではないでしょうか。政府の補助事業よりも、PayPayの大還元がキャッシュレスを推進しました。シンボリックな出来事が市場の流れを一気に変えます。コロナ禍は凄まじい起爆力になります。人が関与しない時代の到来を速める可能性があります。

現状のSSの粗利増は、しょせんは変動する市況のトレンドにすぎません。それよりも、CASEやMaasなど自動車=顧客の変化が前倒しで到来することを想定すべきと考えています。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


〒104-0033
東京都中央区新川2-6-8
TEL: 03(3551)9201
FAX: 03(3551)9206