COCと独立経営<702> 減るクルマとコロナ後 – 関 匤

14日に39県で緊急事態宣言が解除されました。首都圏でも人と車の動きが少しずつ戻ってきています。営業を再開する飲食店も増えてきました。

西日本のCOC会員は、マスク不足からネット通販で高値のものを大量購入しました。3月初旬は1枚100円だったそうです。それが下旬に69円、4月に入ると62円、5月初旬には29円と3分の1まで暴落しています。

「4月20日にWTI原油の買いポジション持っていた人の気持ちわかります」と苦笑していました。

とはいえ、隣国ロシアで感染者数が1日1万人ペースで増えています(14日現在)。韓国では緊急事態を緩和したとたんにクラブから集団感染です。まだまだ“人間関係を密にできない?”油断ならぬ状況です。

油業報知新聞に資源エネ庁の2019年度石油需給が掲載されていました。ガソリンは前年度比▲3%です。月別データを見ると、3月は▲8.4%でした。

4、5月ですが、石連週報で3月第1週から4月第4週までのガソリン出荷量を推定して前年度比で見ると

  • 3月第1週94%、2週82%、3週89%、4週88%。
  • 4月第1週76%、2週81%、3週74%、4週82%。

そしてGW期間中ですが、現時点で石連は公表していませんが、商社筋によると元売出荷ベースで4月26日~5月9日でちょうど前年比60%レベルだそうです。

緊急事態解除で車も動き出しますが、5月はトータルで70%を維持できるかどうかがポイントになるでしょう。

“2割、3割減当たり前”とひと頃の家電量販店値引き並みの減販です。コロナが終息に向かえば落ち着くと期待したいところです。

しかし、SSビジネスの大前提となるのは自動車です。クルマの台数と派生ニーズがあって成り立つのがSSです。

自販連の普通・小型乗用車の新車販売台数は低迷を続けています。消費増税で一気にそれまでの増加ペースが腰を折られて、以降、前年を10%以上割り込む状況にコロナが重なりました。4月は28%減です。

軽乗用車も同様に消費増税でブレーキがかかり20%前後の減、今年1~3月は10%前後の減で、コロナパニック下の4月はなんと35%も落ち込んでいます。

トヨタが80%減益もむべなるものがあります。自動車販売を左右するのは、コロナを経験した消費者心理と行動がどうなるか次第です。移動しない、対人接触しないが長期に常態化した後で、緊急事態が解除された時、一気に生活が元に戻るのか変化するのかにあります。

自動車業界はただでさえ「2025年問題」に直面しています。団塊世代が続々と運転から撤退して、新車販売がピークアウトするという予測です。消費増税とコロナで2025年問題が前倒しされている感があります。

SSのガソリンもアフターマーケットもクルマとは一蓮托生です。「コロナ後のマーケティング」を考える時、減るクルマ・減るガソリンを前提としたものになるはずです。さらにCASE、MaaSといったクルマの革命的変化と移動の意識と行動の変化も進行します。

最近、オートバックスのアクセサリー商品のPVを見たのですが、かつての装飾品は影を潜めています。代わって保温式ドリンクホルダー、電気湯沸かし器、タブレットホルダーなどを中心に置いています。

移動空間のニーズを意識しています。無人運転を視野に入れたものでしょう。コロナで消費行動がどう変わるか分かりません。しかし減るガソリンを前提としたクルマとの関り、可能性を考えておく必要はあるでしょう。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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