COCと独立経営<734>「給油所」を死語にしましょう! – 関 匤

気が付いたらこのコラム、2005年から書いていたのですね。油業報知さんから自由契約を宣告されないし、私もFA宣言しないので(行き先は無いですが)、適当なことを書き散らしております。

当初は、業界内における独立系とかPBに対する誤解と偏見を正すことを目的に書いておりました。“独立系の宣教師”を自負しておりましたが、この業界は「市況真理教」という原理宗教が強力に支配しており、私如きの布教活動では歯が立ちません。

当初と今を比べてみて、大きく変化したのは「ガソリン」に対する私の考え方です。15年前は、ガソリン量販のプライシングとか独立系のセルフ給油レイアウトとかガソリン販売に関心が傾斜していました。今は出光に買収されたジョイフル本田のSSを見学しては素晴らしい!とうなっていました。

一方、その頃は元売が直販SSの拡大競争に入っており、PB量販店の「安売りモデル」が賞味期限切れを起こし始めておりました。

ガソリンに対する私の熱意が変化したのは、1つはCOCの某会員がSS新設用の資金を他の事業に転用したことです。この時点で市場によってはセルフSSと需要の関係が飽和状態になっており、それに気づいた経営者が利益事業の立ち上げに舵を切りました。

もう1つは、COCに入会した異業種からの参入者がサービサー法(債権管理回収業に関する特別措置法)がらみで既存SSをとてつもなく安く買収していたことです。需要が薄いところに、元売直営やJA有力SSがあるため、低い販売レベルでも短期間で減価償却して固定費を軽くするという考えでした。

国内ガソリン需要も2005年暦年をピークに減少に向かいます。ある意味、コラムがスタートした時期は、需要も経営者の考え方も変化し始めたシンボリックな年でありました。

COC有志で何度か渡米して、レンタカーでSS、クイックルブ、洗車専門店に飛び込みで見学を依頼し、参加費を払いコンビニ(=SS)のコンベンションにも出向きました。

行くたびに「利益をどこで取るか」を考えるようになりました。米国のSSはほぼ全てコンビニ業態です。店長の関心は店舗商品にあります。サンディエゴのセブンイレブン店長は、いかにクレンリネスに力を入れているか、品揃えと単品管理に知恵を使っているかを力説していました(断片的ですが理解できました)。

リーマンショックの前に原油高でガソリンが180円になった時があります。SS併設のカーケアセンターを繁盛店化したCOC会員がこう言いました。

「ガソリンって面白くないな。原油相場頼みの市況商品だから自分で値段を付けられない。利益も市況次第で勝手に上下動するし。セルフも立地・設備で客数が決まる自動販売機。なんかガソリンとお金の交換所みたいだ」

この経営者はガソリン価格を「仕切り+㍑何円」と利幅を決めて、周辺より大きく高値にならない限りこの原則を固持しています。面白くない商品だから、「ガソリンはアフターマーケットの一商品」と位置付けを改めました。十数年前のことです。

爾来、私がCOCでよく使う言葉は「利益軸」です。SS店舗でも会社としてでも利益軸を作りましょう、です。もちろん、私は実務家ではないしコンサルタントでもありません。それでも会員の中で、小商売でもいいから自分で考えた利益事業があれば紹介するようにしています。そして現在、ガソリンについては語りたくもないのが本音です。総需要が構造的に毎年縮小=マーケットが縮小して、取引も再編元売による事実上の配給統制ですから、伸ばそうとすれば損するだけで、ましてガソリンにおけるPBの影響力は消失しています(除くコストコと一部PB)。

だから、「サービス・ステーション」を再構築することが最大の経営課題と考えております。「給油所」という言葉は死語にすることです。給油所と書き続ける日経新聞に対しては不買運動を仕掛けましょう。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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