COCと独立経営<741>ガソリンを語ってる時じゃない – 関 匤

COCという組織も業界の縮図です。いろんな考えの方がいらっしゃいます。

政治運動もせず大した共同事業もやらない親睦会的な集まりが実態です。研修会が大きな仕事です。2005年頃までは、研修会で石油をテーマにしておりました。企業の大小の違いだけで価格や数量は共通の話題になっていました。

しかし、この頃から組織の新陳代謝が激しくなりました。自由化効果というか新規参入者が入会してきました。主に本チャンの自動車屋さんたちです。

お陰でSS車販をやっていた人たちが、自動車業界の深いところを知ることができて、事業をブラッシュアップできました。COCでカーケアをやっている人は、相当に高いレベルにあると思います。系列でやっている「数量狙い」のキャンペーン油外とは明らかに一線を画しています。

また、ガソリン量販で走ってきた方が農業に参入しました。2005年をピークにガソリン需要が減販を始めたのですが、地域によってはずっと早い段階で市場が縮小していました。「飽和」を認識したことで、SS新設資金を新規事業に投入しました。

熱心な会員からは研修テーマの多様性を求めてくるようになりました。私も石油一辺倒から頭が離れつつありましたので、企画を立てる人間として、1つは「エネルギー」(石油にこだわらない)、2つめは「マーケティング」、そして3つめに「クルマ」を共通のテーマに置き換えました。多様化する会員の業態に最大公約数としての3つを意識するようになりました。

もちろん、“面白くねぇ!”と私を面罵して退会した方もいらっしゃいます。理事の方々には「石油販売業者と一括りにできないほど業態が多様化しているから」と説明しています。良い意味で独立経営ならではのバリエーションです。

先述した自動車屋さんの存在はきわめて大きいものがあります。SS車販では考えられない次元の販売力と知識を持っているからです。前回に紹介しましたが、初めて車販に取り組んだ若い後継者が3年でメーカー副代理店に昇格したのも、COCに車販のよい土壌に刺激を受けた一面があります。

研修会の講師も、営業目的の人は一切呼ばず、また霞が関や業界団体にお追従する方も対象外です。油業報知新聞で記事が出ると思いますが、3月10日のZOOM研修会には自動車産業の調査分析で第一人者の中西孝樹氏(ナカニシ自動車産業リサーチ代表)にお願いしました。

ここでは詳しく書きませんが、CASEとMaaSで何がどうなるかを、絡まった糸をほぐすように分かりやすくポイントを整理してくれました。自動車会社は「メーカー」から「モーダルサービスカンパニー」への転換を図っていること、そしてMaaSという消費者の意識と行動変化がその背景にあることがよく分かりました。

そこに「脱炭素」が大きな変動係数となっています。中西氏は「ハイブリッド込みの日本のガソリンありきのEV戦略だが、2050年のカーボンニュートラル実現には2030年に電気だけで走るEVが新車の20~30%が必要」と原理原則論で述べました。また、SSなどアフターマーケットに生きる企業は「2025年までに戦略的な対応」を固めるべきと、厳しい話ながらゴールを決めてくれました。

もはやガソリンを語っている時ではないと改めて認識しました。見るべきは石油ではなく「クルマ」です。将を射んとすれば馬(クルマ)を見よ、です。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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