COCと独立経営<760> 東京は過疎だ、銀座にSS新設を! – 関 匤

この数字は何を意味しているでしょうか?
①米国2200人
②韓国4200人
③日本4300人
④フランス5800人
⑤ドイツ5800人
⑥英国8100人
答えは「1SS当りの人口」です。SS数はENEOS石油便覧を参考にしました。人口が多いほど「SS過疎」となります。主要国において、日本の「SS人口密度」は韓国と並んでほぼ平均値にあります。
1方、仏、独、英の欧州勢は数字ではかなりの過疎です。英国は日本の倍近い「SS過疎化」にあります。
1SS当り人口を日本の都道府県別で算出してみました。過疎化ワースト5は次のようになりました。
①東京 1万4千人
②神奈川 1万1千人
③大阪 9600人
④埼玉 7400人
⑤京都 6300人
6位以下は千葉、福岡、兵庫、愛知、奈良です。東京と神奈川は平均の3倍以上、英国をはるかに凌駕する「SS過疎地」です。これは大問題です。補助金を大量に突っ込んで銀座4丁目や横浜伊勢佐木町で「サプライチェーン計画」を立ち上げるべきでしょう。(もちろん冗談です)
先の英国ですが、日本の全石連に相当する業界団体がPRA(石油小売業者協会)です。年1回のマーケットレビューを発行しています。データ量が多く私の稚拙な語学力では拾い出せないのかもしれませんが、少なくとも「過疎地対策のサプライチェーンを!」といったスローガンは見当たりません。彼らが最大の関心を持つのは、CASEやMaaSとカーボンニュートラルに対してどういう業態作りをするかです。過疎地で騒いでいるのは日本だけのようです。
先般、COCリモート研修会でSS現場に愛着を持ち、数多くの経営者とSSスタッフを知るライターに登壇願いました。その彼が、COC会員でさえ神経を逆撫でされるような発言をしました。「消費者は給油できる場所であれば、それがガソリンスタンドでなくともよい」。つまり、給油可能なら郵便局でも消防署でもカラオケ店であっても、消費者は困らないということです。
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実際、資源エネ庁が3年ほど前に研究会に出した資料に郵便局、道の駅、コンビニ、LPG販売店等々の「SS候補者」がイラストで示されていました。石油村の住人にとっては不都合かもしれませんが、消費者にとっては利便性が高まるでしょう。
補助金を使って過疎地にSS設置が行われています。よく見ると多くが食品販売店や道の駅にあります。給油より利用頻度の高い業態とのコラボによって、人口の少ない地域で「給油」が成り立っています。
資源エネ庁の構想にある人たちの妨げとなっていたのが消防規制ですが、明らかに無人管理に向かっています。裸火を使わなければフィールドでの物販や駐車が可能になりました。野菜販売所やキッチンカーに場所を提供するSSが出現しています。
給油取扱所のハードルが下がるほどに、郊外で利益軸を持つ小売りやサービス業態が店舗機能として給油を付加するモチベーションが高まるでしょう。とりわけ、COCのリモート研修でSS併設した整備工場やカーディーラーが紹介されましたが、彼らは給油機能を非常に高く評価していました。「ガソリンスタンドでない」給油サービスが広がれば、SS過疎地など雨散霧消するでしょう。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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