COCと独立経営<776> 「標準価格制度」の宿痾④ – 関 匤

以前の原稿で系列有力店の決済ツールや会員制度を駆使した「合わせ技値引き」を書きました。これオミクロン株より先にまん延していますね。

先日、系列店の社長と話をしたのですが、直営SSで異常にガソリン減販しているSSが出たそうです。セルフの看板価格に合わせており前年比で微増減ペースできたのが、一〇%以上も落ちたそうです。原因究明したら元売直営や有力店の合わせ技でした。

標準価格制度が特石法撤廃とともに消失したのに、「昭和のガソリン脳炎」は完治しないようです。

私自身も、COC事務局を受けたまわった頃はガソリン脳炎に罹患していました。まして自由化以前は、ガソリン量販店が大好きで経営者の方々にお会いしていました。

標準価格で元売が売れるガソリンに傾斜して、系列SSには潤沢に販促支援や事後調整が行われていました。それを上手に引き出すのが経営者の腕であり、量販で高収益をあげていました。

ただし、フルサービスでしたから人事ローテーションと接客訓練の優劣がありました。そこが量販SSの妙味でした。高校生アルバイトを実に上手に鍛えるSSは本当に勉強になりました。小売経営では価格体系の有無にかかわらず、いつの時代も人事が優劣のカギを握ると実感しています。

ガソリン高の体系は、大手特約店の巨大利権となりました。そこに通産省の規制(行政指導)が絡んだことで、大手店は大手店のままで維持される業界地図となりました。

大手店の足を引っ張る存在となったのが、当時の無印SSです。オイルショック後、通産省は省エネの大義名分からSS建設を凍結しました。廃止代替えで新設するなら一カ所閉鎖すべしでした。

ところが当時のSSは石油業法の大枠で建設指導されていました。登録ではなく届け出制です。系列SSは元売や石商を通じて行政指導が徹底されましたが、無印はその範疇にありません。通産局に届け出て消防完成検査を貰えば開業できました。欧米の石油マーケティングに無知であった通産官僚は、無印というチャネルの登場を想像できなかったのです。

しかも、製油所にガソリンが溢れかえっています。この時代に業転市場が大きく拡大します。

こんな美味しい話はないと、総合商社主体に石油内販商社が大活躍します。売り先を見つけるブローカーもあまた存在しました。オイルショックがガソリンを利益(大儲け)商品化して、しかも余剰になるという状態でした。

その市場に、実は大手特約店も参入しました。サブ店仕向けの商流を駆使して、物流届け先を無印という手口です。

しかし、SS販売において無印の存在は大手店の利権を阻害します。面で市況が下がって直営SSの収益を悪化させます。また、サブ店からも卸し価格を突かれます。それほど業転価格が安かったのです。

オイルショック後の販売店は、元売に対して業転出荷規制を激しく要求します。一部は元売非難の文言を印した無数ののぼり旗を立てて一千人を超すデモ行進で、某元売支店を取り囲んだと聞きました。

その後、「無印排除・業転規制」の矛先を政治に向けました。目的遂行のために議員立法で法律を作らせました。本稿で何度も最悪の法律と断じてきた「揮発油販売業法」(揮販法)です。

ガソリン価格を別にすれば、当時の無印の大部分は設備規模に乏しく、誰が見ても貧相な外観で“安いよ!”を連呼するだけのSSでした。一方、自動車アフターマーケット市場は巨大な成長市場と見込まれていました。だからオートバックス、イエローハットが創業し、ホームセンターでカー用品が飛ぶように売れ、一部ではスーパーマーケットにも用品売り場がありました。

すでにカーケア客を持つSSが業態を強化すれば、サービス無しの無印をマーケティング的に差別化できる可能性を持っていました。しかし、揮販法はSSのサービス機能すら阻害して、業態の成長を止めてしまう結果を生み出しました。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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