COCと独立経営「佐藤太治氏のユーチューブ②」- 関 匤

先週の油業報知新聞に2022年3月末の元売SS数が掲載されていました。

系列総数で2万2000カ所余り。うち元売社有SSは26%です。1年間で総数322カ所減少、うち社有SSは37カ所減でした。セルフSSは135カ所増、うち社有は28カ所増です。

セルフ化率は39%です。セルフが平均の2倍のガソリン販売力と仮定すると、系列販売量の約8割近くをセルフで売っていることになります。

セルフ総数のうち社有SSが50%を占めます。セルフで特約店販売店自己物件のセルフ化率は26%です。一方、社有SSは75%がセルフ化されています。つまり、1998年のセルフ解禁以降に元売SS資産の75%が新設あるいは改造で店舗力が強化されたことになります。別に給油のセルフ化が店舗力の必要十分条件ではありませんが、系列店自己資産と元売資産との差は圧倒的です。

大企業と中小企業との投資力の違いが明らかになっていると、見ています。

さて、前回に続き佐藤太治氏のユーチューブです。彼の石油業界時代の話をじっくりと進めています。直近では「ガソリン自主輸入」の入り口の話に入っています。ここからが旧通産省の石油行政を飛び越えて国際問題に発展することになります。

佐藤氏がガソリン自主輸入を画策したのは1984年のことです。当時、1962年施行の「石油業法」を金科玉条として通産省の石油政策が展開されていました。加えて、「揮発油販売業法」が運用されて、上流から下流まで官民一気通貫の「秩序」がきれいにできていました。

そこで無印SSが出現して業界内に問題は起こりました。しかし、無印供給に、実は一部幹部店が「販売店向け」と実際の仕向け先を変更して平気で無印SSに関わる時代でした。

佐藤氏は、30歳の若者です。石商に加入せず、ガソリンJIS規格外の「フエル」というBTX系燃料を韓国から輸入販売していました。商売が大好きで儲かるなら何でもやる前のめりの青年だったと思います。無邪気に儲けを追求していたのでしょう。

その無邪気さゆえに、法律と行政指導による内内の差配に気付かなかったのです。「石油業法は『届け出制』だから輸入申請を届ければたぶん輸入できる」と、自身がユーチューブで語っています。

実際には、元売だけの石油業法であって法律より強固な行政指導で有象無象による石油輸入は御法度でした。元売や全石連傘下では「常識」でしたが、佐藤氏のような独立系小売業者にとってはどうでもよい話でした。

佐藤氏はシンガポール国営石油会社・シノペックとガソリン輸入契約を結びます。接点は、彼がゼネ石特約店時代に優秀特約店の旅行会でシンガポールに招待されて、街場で呑んでいる時に日本語が出来るシノペックの社員と出会ったと述べています。

その後、ガソリン市況維持運動が行われた時に、ゼネ石が仕切り価格を上げてきたそうです。その時に、韓国の石化系燃料(フエル)を輸入して一儲けしましたが、やはり“まがいもの”で取引相手がつかず本当のガソリンで勝負したいと考えたそうです。その時、ゼネ石時代にシンガポールで出会ったシノペックの社員にダメもとで連絡したら「輸出ウェルカム」となりました。

この瞬間、神奈川県相模原市のどこにでもいる安売り業者の佐藤氏は、日本政府を敵にすることになりました。毀誉褒貶相半ばする人物ですが、ようは30歳の経営者が奇しくも国家を相手に戦うことになったのです。現在の次世代と言われる若手経営者に、国と戦う気概があるのでしょうか。ないですね。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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