COCと独立経営「佐藤太治氏のユーチューブ⑤」 – 関 匤

先日、COCの理事会を東京の貸会議室で行いました。

最近、スペースのマッチングサイトが盛況です。ここ2年間、ウェビナーのホスト役でお世話になりましたが、東京神田の雑居ビルなら時間600円で借りられました(清掃除菌空調されています)。今回の理事会は利便性の高い場所でしたが、10人余裕で入って時間1500円でした。

理事会で関西地方都市の経営者が「ウチの息子(医師)が中古車を買った。130万円だった」と言いました。どうでもいい話ですが、買った車が「ミライ」でした。

中古車だから数年前の認識ですが、ミライって新車700数10万円でした。これに300万円の国の補助金が出ています。政府からすれば「価値1000万円」です。これが中古になった途端「130万円」ですか…。今の超強気相場の中古車市場で。

トヨタはミライの新車リースで「残存価格50%」を謳っていました。金額で350万円です。でも、中古市場価値が130万円です。リースアップした時に、ディーラーと顧客の間で差額を巡って“ドラマ”が起こらないことを祈念しています。

それと地方都市ですから「水素」そのものが存在するや否や。エネルギーの安定供給を叫び続けてきた経産省ですから、もよりの地方局職員が水素ボンベを背負って息子さんのミライに充填してあげてください。実走行の「未来」が掛かっていますから。

佐藤太治氏のYouTubeです。現時点でガソリン自主輸入のタンカーがシンガポールを出た時点で、通産省記者クラブで会見を開いたと述べています。

マスコミが大挙して集まったそうです。「一介のガソリン屋のおやじが輸入」「日本で初めて」「政府に対抗して」という記事のタイトルになりそうな話が満載でした。

とりわけ、1984年の時代背景ですが、第1次石油危機時の石油闇カルテル事件がメディアの中にまだ尾を引いていたと思います。この時、通産次官が「石油業界は悪の権化」と叫んだことから、なにかと業界イメージが悪かったのです。だから、彼の記者会見はマスコミに美味しいエサを投げ込みました。

しかも、石油危機時の標準価格を引っ張っていた「ガソリン高、中間品安」の価格体系の国内市場に対して、佐藤氏は「国際常識」のガソリン価格で輸入しようとしていました。イソップ物語の「ハダカの王様」の世界です。無邪気な少年が“輸入したら1.20円安く売れるよ!”と叫んでしまったのです。

この図式、冒頭のミライの中古車価格にオーバーラップしてしまいます。自動車に無知な青年が、役所とマスコミの持ち上げでステイタスを感じて購入したら、新車価値の10分の1で買えてしまったのです。“水素社会ハダカの王様”です。

記者会見は一般紙のトップ記事となり、「物凄く安いガソリンが入ってくる」と世論は沸騰しています。届け出制で輸入申請した時に、佐藤氏に向かって「届けは我々が審査判断する」と牽強付会に断言した資源エネ庁石油部計画課に記者が押し寄せたそうです。「私が政府だ!」と強弁した当時の課長補佐はどう対応したのでしょうか。

書いている時点では佐藤氏のYouTubeは記者会見の段階です。さすがに届け出制を行政指導で事実上の許認可にする理屈は、石油村では通用しても社会には非常識でしかないと考えたのでしょう。

そして、1962年施行の石油業法体制が瓦解の危機を迎える中で、誰が考えても無理筋の「禁じ手」を打ちます。当時の、政府・通産省は、“プーチン”を笑えない弾圧を加えることになります。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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