COCと独立経営<813>「ガソリンギフト券」で思い出した – 関 匤

一応、触れておきますが、先週の週刊誌スクープを読んで「なんともはや」の感しかありません。いつの頃からか「コンプライアンス」とか「SDGs」とか横文字を枕詞に唱える人ばかりになりましたが、実が伴っていないようです。小難しい言葉を使うよりも「道徳」と「倫理」こそ大切です。

9月20日付の油業報知新聞1面に「全石連ガソリンギフト券全国に普及」とありました。実は私、ギフト券の存在を知りませんでした。

記事によると、21年度に3.7万枚が販売されていますが、22年度は上半期で6.6万枚に達しているとあります。

「購入層はカーディーラー、カー用品店、外車ディーラーなどの大口購入が目立つほか、地方銀行、テレビ局などノベルティや贈答品需要が多い業種からの引き合いが見られる」(同記事)とあります。さらに自治体、職域、WEB運営会社、IT企業、商店街、飲食業・・・等々、幅広く大口客の購入が主体となっているようです。

記事にあるように、ノベルティとして反版促進に利用されるケースが多いといえます。これはデパートなどの商品券と同じような用途です。「ガソリン高」が意識されている時期なので、貰った人は喜ぶでしょう。

HPが開設されているので確認しました。気になったのは次の文言です。

「現在販売していますのは、1枚1,100円(お引き換えは1,000円分)1種類です。差額は流通経費の一部として購入された方にご負担いただいております。」

1,100円で買った商品券なのに1,000円分にしか使えないということです。「流通経費うんぬん」とあるように、全石連が発券主体ながら実際に利用する場所は参加する数多くの経営体が異なる企業群です。元売の代行給油システムと似ています。中小企業団体が少なからぬ中小企業と決済を行うため流通経費が必要となるのでしょう。

ただし、この設計だと個人消費者は魅力を感じません。逆に、ノベルティなら大歓迎でしょう。ガソリンは必需品であり名称通りに「ギフト」として流通は広がると思います。

ところでこのギフト券で思い出したことがあります。1960年代のSS業界誌で読んだことがあるのですが、当時、「ガソリン前売り券」が出現しています。元祖プリカです。当時のSS業界は先進的な流通業だったのですね。

当時は入金済度の長い掛け売り時代でしたからSSにとって現金収入は魅力です。そのぶん金額や価格設定もお安いということで固定客も増やせると、発券競争が活発化していました。

私が読んだ記事によると、SSごとの前売り券が大量に金券ショップに持ち込まれてしまい、SS販売価格を下回るショップ市況ができてしまったそうです。SSで前売り券買うよりも大量に市中に出回っている「業転」に消費者がなびいたようです。

油業報知新聞記事にあるようにガソリンギフト券はノベルティが多いようです。換金も増えるのかな、と調べてみたら。某ショップでは「800円」の買取価格が掲示されていました。これは金券の宿命ですが、新幹線も商品券も法人から換金市場に持ち込まれます。

くれぐれも「ノベルティ過多」の買い手市場にならないようにしてほしいものです。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


〒104-0033
東京都中央区新川2-6-8
TEL: 03(3551)9201
FAX: 03(3551)9206