COCと独立経営<821>スマホ消費時代とSS – 関 匤

以前も書きましたが、大阪のJR天王寺駅近くの茶臼山(真田幸村最後の地です)あたりに、天王寺公園の公共駐車スペースがあります。2カ所あって、谷町筋を四天王寺に進んだスペースにはファミリーマートとお洒落な軽飲食店が向き合っています。このファミマの駐車スペースのうち5台分がテスラの給電場所となっています。

最初に見た時、3台が給電中でした。その後2回確認しました、2~3台が止まっていました。利用頻度が高いようです。
天王寺は谷町筋から裏手に入ると昔ながらのお屋敷やマンションの落ち着いた住宅街です。高級住宅地の帝塚山からも近い場所です。裕福で意識高い系の都市生活者にEVが徐々に浸透しているようです。

テスラのイーロン・マスクCEOは、SNSのツイッターを買収しました。当然、テスラ車の戦略とSNSがリンクすることになります。ツイッターは上場廃止となるので、マスク氏は投資家を気にせず思い通りに戦略展開できます。色んな仕掛けが出てくるでしょう。
EVもさることながら、茶臼山を見ているとコンビニや飲食スペースと給電の相性の良さを感じます。お洒落な喫茶店でスマホやパソコンを開いている人が何人かいましたが、作業したりYoutubeで動画を3~4本楽しんでいるうちに給電が終了します。

別にEVが拡大するという話ではありません。「待ち時間が苦にならない」ことが大切なポイントと考えます。

COCのビジネス研究会にお呼びしたフリーライターが「スマホ前とスマホ後の消費者心理の変動」を述べました。そして、「産業革命から200年間続いてきた消費行動を変動させている」と述べました。
キーワードとして、「かたまり時間」から「すきま時間」へ、「ながら」の間に何かの時間が終わる」と述べました。

「かたまり時間」とは、勤務時間9時~5時の間は仕事に固定されていた時代です。サボリ以外は、仕事と移動で時間が固められていました。しかし、スマホの登場は仕事の「すき間」に「ながら時間」を作り上げています。
通勤電車に乗り“ながら”、外部とコミュニケーションが取れるし買い物までできます。満員電車内で動画やゲームを楽しめます。
最近、若いサラリーマンのトイレ時間が伸びているそうです。仕事中のトイレでスマホをいじっているのです。スマホ後の消費者行動の変動の話は大いにうなずけました。

そしてEV対応より以前の問題として、スマホ後の消費者心理にSSはどういう対応をすべきか考えさせられました。洗車やオイル交換の間、待ち時間を苦にしないセールスルームのあり方はないのでしょうか。

実はセールスルームをどう位置付けるかは、古くて新しい課題です。過去、何度かチャレンジが行われました。規制に邪魔もされましたが、旧エッソは1960年代にレストランとの複合店を実験しています。これに触発されたSS経営者が独自に飲料と麺類の自販機を何種類も設置したこともあります。こっちは繁盛しましたが、ガソリンゴンタ店ゆえに中止させられましたが。

1985年には旧共同石油が「業態化計画」として、SSセールスルームを革新的に変革する戦略を展開しました。共石の動きが全元売、SS経営者に変革の機運をもたらしてなかなかに面白い現象が溢れました。

しかし、フルサービス時代ゆえに労務コストが大きくなり、また、いつの間にかガソリンの販促手段に変わってしまい雲散霧消してしまいました。
せっかく給油空地の利用が広がったので、これを生かして「待ち時間が苦にならない」業態に転換できないのか。浅知恵ながら考える最近です。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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