COCと独立経営<849>「給油目的外の来店動機を作るSS」 – 関 匤

自動車の統計を見ると、2022年度のBEV乗用車(電動車)の新車販売台数は3万3808台となり過去最高を記録しています。ベースが低いものの前年度比140%の増加です。
また、乗用車新車販売に占めるBEVのシェアは20年度まで1%以下でしたが、21年度に引き続き1.4%となりました。

トヨタがHVプリウスを発売したのは1997年です。8年目の2003年暦年でようやく1万7000台です。翌年5万9000台に跳ね上がります。その後、ジワジワのペースで5万台から7万台に達した時に、リーマンショックによる国内消費喚起の狙いもあってエコカー減税が実施されて一気に20万台に飛躍します。
現在は数万台レベルですが、プリウスの発売によって全メーカーがエコカー戦略に舵を切ったことで、ハイブリッドは乗用車登録台数の18%を占めます。

BEVの販売動向は、プリウスの03~04年レベルに来ているといえます。今後どこまで伸びるか気になります。
プリウスはガソリン車に行われたエコカー減税で飛躍的に販売台数を伸ばして一気に認知を高めました。一方、BEVはすでに補助金を「先食い」しての新車販売台数なので今後の伸び代があるのか疑問ですが…。

それでも今年4月、5月のBEV新車販売は前年比で206%、209%と倍増を続けています。そろそろ2025年頃に照準を合わせてBEVにどう向き合うかを考えておく必要があります。

ガソリン販売は激変緩和補助金という“麻薬”が切れて、原油の暴落が起こらない限り秋以降の高値で減販に拍車がかかることになります。
小売店舗は「客数」が命です。その意味では「BEVも顧客」という前向きな考え方に切り替える必要があります。

話はBEVとは違いますが、先のCOC通常総会研修会で1SS店による「新しい集客」への取り組みが紹介されました。
外観はどこにでもあるSSです。よく見るとSS角地、道路側の空地を使って瀟洒な小型店舗が併設されています。ポークバーガー、カレー、ソフトクリームのテイクアウト専門店です。

1SS店ゆえに顧客との接点は強く、固定顧客に支えられてきたそうです。広域合併で市になっていますが、SSのある町は人口1800人ほど。しかも顧客の高齢化にともない免許返納が目立っています。また、配送先の燃料転換も起こります。SS経営者は顧客との関係が途切れることに寂しさと危機感を強めていました。
地方であり顧客の家の間取りまで分かっているような関係性ゆえに、免許1枚でお店との関係が消滅することを座して待つことはできない。ということで、自転車でも徒歩でもいいから来店する目的と新しい顧客接点を作れないかと考えていました。

しかし唐突に飲食テイクアウトを始めたわけではありません。顧客サービスの歴史が効いています。
家族で経営していますが、子息の奥さんが飲食店出身で顧客に無料で提供するコーヒー1杯にもこだわっているそうです。健康志向の食品を並べたり、飲食店に掛け合って店内に弁当自販機も設置しています。

店内だけではもったいない、通行車両にも訴求しようと、テントで「団子祭り」を開催して評判を博すなど、実は「食」をキーワードに、運転免許返納者や車を持たない若者の来店動機になるという確信から、本格的に事業としてスタートに至ります。

決して思い付きではありません。この奥さんは調理師免許を取得し、FCではなく独自のこのSSでしか経験できない味を作り出しています。そして難関の中小企業再構築補助金を自ら申請して確保しました。
バーガーはチェーン店10社の商品を肉の成分、グラム数まで分析しています。
私が感心したのは、経営者が子息の奥さんに事業を容認したことです。小企業は経営者1人で考えても限界があります。血筋では他人に任せたことは、同族企業では英断です。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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