COCと独立経営<850>「SSはセルフ決済の先駆者だが…」 – 関 匤

日本の小売業界で初めて、セルフレジを面で展開したのはSS業界ではないでしょうか(SSを小売りではなく給油業と考えている人もいるようですが)。

1998年のセルフ解禁当時、フリーランスになっていた私は貰える仕事は何でもしておりました。
その1つに出版社・商業界のコンビニ取材がありました。商業界は素晴らしい精神を持つ会社でしたが、残念ながらコロナ禍に倒産しました。
「店は客のためにある」を社訓として、スーパー、ホームセンター、コンビニ、アパレル、飲食と幅広く小売業発展のために、雑誌、単行本を数多く発刊していました。

当時、小売業とりわけチェーンストア最大の課題はレジでした。商品調達と開発、商品の搬入、店内加工、品出し手順、ディスプレイ、店内動線の効率化など徹底的に突き詰めてオペレーションの効率化と顧客の買いやすさ、売り場の魅力作りを図っていました。
しかし、最大のボトルネックがレジの渋滞にありました。商業界の編集者と話していても、よく話題に出ていました。
そういう小売業界を尻目に、SSはセルフサービスで簡単にセルフレジを実現しました。
フルサービス時代のSS経営者が目を光らせていたのは、店頭の渋滞ではなく金銭ロスでした。悪い話をよく耳にしたものです。セルフは経営者の課題を大幅に解消しました。

最近、チェーンコーヒー、ファーストフード、ドラッグストア等々でセルフレジが広がっています。
スシローは入店から注文、精算までセルフ化しています。
まさに「コロナの奇貨」です。彼らはレジセルフ化のシステムをすでに確立していたと思います。
しかし、現実に運用することを躊躇していたのでしょう。それがコロナ禍の非接触ニーズを逆手にとって、「お手間を掛けますがこれでお願いします」と一気に実戦投入しました。長年の課題が一気に片付いたといえます。

また、飲食の場合、アプリ予約の広がりで従業員の手間や勘違いが縮小しています。キャッシュレスも推進することで、コロナ前よりも店舗オペレーションコストは相当に効率化されたと思います。その分、商品開発や鮮度の高い食材調達競争に投資を振り分けています。

SSは四半世紀前にセルフ化して、多様な決済手段も投入されアプリも登場しています。しかし、小売業界のセルフレジ=オペレーション効率化=収益商品への投資という発展形は見えません。

レジのセルフ化以外にも、SS業界はPOS導入、クレジットカードの受け入れには半世紀の歴史を持っています。実は先進的な業界なのです。
残念なことにそこから先に新しい経営形態が出現していません。
何度も言うように規制に甘んじたことで業態進化が停滞して、POSもクレジットもセルフも、最近ではLINEやコード決済も全て「ガソリン決済と値引きシステム」に収れんしてしまっています。
小売業は多様な商品群の組み合わせで客単と利益を作り上げます。それをセルフレジで一元管理できます。
一方、SSの商品アイテムはコモディティの石油以外は、属人性の高いものばかりです。しかも石油以外にSSでしか買えない商品はありません。
オイル、バッテリー、タイヤ、車検、車、コーティング…どれも数多くの業種業態が鎬を削るレッドオーシャンにあります。

ガソリンチェーンを作れても収益チェーン作りができない(無関心?)ゆえに、中小企業のSS経営者の取り組み方で温度差が生じて、小売りチェーンのように統合的な店舗システムが生まれていません。それゆえに収益事業において、独立系の生きる余地は大きいと言えます。
しかし、POSからセルフ決済までトップを取りながら、進化系が生まれなかったのは残念です。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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