COCと独立経営<856>「185円市況」の都道府県別温度差 – 関 匤

8月31日の日本経済新聞の報道です。

「岸田文雄首相は30日、9月末に期限を迎えるガソリン補助金について年末まで延長すると表明した。9月7日から段階的に拡充し、10月中にレギュラーガソリンの販売価格が全国平均で1リットルあたり175円程度となるよう調整する。」
併せて「資源エネルギー庁によると、28日時点で1リットル185.6円と2008年8月の最高値185.1円を突破した。」と根拠を述べています。激変緩和措置の継続が決まりました。

油業報知新聞が詳しく報じるでしょうが、資源エネルギー庁による今後のスケジュールは、「10月中に全国平均価格175円程度の水準となるよう補助額及び補助率見直し」として
①9月4日石油製品価格調査の実施
②9月7日新制度開始(新制度の下で計算された補助金の支給開始)
※基準価格168円+17円超の部分は全額補助とし、17円以下の部分は補助率3/10
④10月5日185円以下の部分の補助率引き上げ
※基準価格+17円超の部分は全額補助とし、17円以下の部分は補助率3/5
-となります。

戦中、戦後の配給統制時代がどうだったか知りませんが、平時において首相が市況商品ガソリンの小売価格を「175円程度とする」と明言したのは史上初めてのことではないでしょうか。

元売が一般特約店に対して売価を指示するのは独禁法の再販価格の指示に抵触しますが、形は違いますが首相が売価水準を示唆したことになります。ある意味凄いことです。しかし資源エネルギー庁の制度設計が「168円+17円=185」を補助率の基準に置くのに対して、首相が「175円」を口にしたことには頭が混乱します。原油相場が大幅下落すれば良いのでしょうが。
前回述べましたが、ガソリンの小売価格ってどこで正確に捉えるか非常に難しい話です。業者の自己申告で情報を集めて単純平均したら、明らかに高い数値が出ます。

何より地域格差があります。大きくは元売の系列支配力の強い地域かそうでないか。同じエリア内であっても地点の競合状態によって変わります。また、プレーヤーの戦略によっても違いが出ます。コストコなど市町村はおろか複数県から広域に倉庫店に来店しますから、元売はもちろん地場業者の思惑を超えた価格設定を行います。

私は市況を考える時、石油情報センターの価格調査では「価格変動の傾向」を見ています。一方、実勢市況に関してはgogo.gsサイトを参考にしています。
そのgogoサイトですが、8月31日時点で価格を見ました。全国平均は182.5円です。冒頭の資源エネルギー庁発表よりも3.1円安くなっています。資源エネルギー庁の価格では「基準価格168円+17円」を超えた0.5円分が補助されますが、gogoサイトでは0.5円×3/5の補助率対象となります。
同サイトで都道府県別に拾ってみました。

都道府県地域格差は17円もある ※gogo.gs8月31日より作成した平均市況
都道府県地域格差は17円もある
※gogo.gs8月31日より作成した平均市況

最安値の和歌山県は平均で173.9円です。逆に最高値の長野県は191.1円であり両県の間に「17.2円」もの格差が生じています。和歌山県は全額補助対象の185円に対してマイナス11.1円ですが、片や長野県はすでに6円オーバーしています。

グラフ(上記)は安値・高値10地域をまとめてみましたが、長野以外の福島、福井、神奈川、大分もすでに185円を超えています。
消費者は、ガソリンに補助金が出ることは知っています。また、首相の「175円程度に」という談話も知っています。すると和歌山のSSは企業努力をアピールできますが、すでに185円を突破した地域は消費者への説明に苦慮するかもしれません。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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