COCと独立経営<866>「東京」にガソリン補助金不要! – 関 匤

石油連盟の統計資料に総務庁調査の「主要都市における世帯あたりガソリン支出額」があります。2020~2022年の平均値で都道府県庁所在地ごとの年間ガソリン支出額を算出しています。

「ガソリン年間支出額に8万円格差!」 出所:石連HPより。 総務省データ
「ガソリン年間支出額に8万円格差!」出所:石連HPより。 総務省データ

都市別に大きな差異が生じています。税金の異なる沖縄を除いた単純平均で5万620円。一番支出が大きいのが山口市です。
年間「9万4423円」と平均から約4万円も高いものとなっています。
逆に一番支出が小さいのが東京都区部です。「1万6503円」。なんと山口との間に8万円近い格差が生じています。

こういう数字を見ていると、「激変緩和補助金」は地域によるありがたさの温度差が生じているのではないと疑念が生じます。
山口市以外では大分市、宇都宮市が8万円以上です。そして金沢市など9都市が7万円以上です。一方、東京以外では大阪市が1万8718円、横浜市、京都市、千葉市が2万円台です。

これだけ都市によるガソリン支出が異なるのですから、可能であれば、補助金はピンポイントで支出が多い場所には大きく、少ない場所には小さくすれば消費者の実感も違ってくるでしょう。

私は資源エネルギー庁のガソリン価格調査よりも「gogogsサイト」の価格が実勢を反映していると考えています。

資源エネルギー庁の価格調査は、その価格がどういう価格なのか裏付けがありません。ガソリン価格は地域性があります。同じ県でも商圏による差異が出ます。セルフSSとフルSSにも価格差があります。そして法人掛け売りは取引先ごとに大きな違いがあります。
個人客でも、店頭価格、会員価格、クレジット価格、QRコード会員価格、プリカ等々実に価格は多彩です。
本気で実勢価格を知ろうと思えば、こういう前提条件を踏まえたうえで加重平均する必要があります。不可能ですが。

その点、gogogsサイトの場合は現金価格にセグメントされています。経費で賄える掛け売りよりも、大多数の消費者は現金価格を判断基準としています。そして市町村別にランキングと平均価格を見ることができます。かなりの投稿者数があるようなので私は信ぴょう性が高いと考えています。

冒頭の「世帯当たりガソリン支出額」に戻ります。総務省が都道府県庁所在地別に支出額を把握しているならば、このデータを基に県別補助金なんてできないのでしょうか? 支出額と乗用車保有台数という簡単な計算で分配できます。元売は「流通経路証明」でガソリンの仕向け先を把握していますから、すでに都道府県別の出荷データを掌握しているはずです。
暴論を言わせていただければ、東京都区内や大阪市内は「200円ガソリン」で良いと思います。年間2万円未満の支出が数千円増えるだけですから。山口や大分に比べれば幸せです。

個人的には好きではありませんが、東京と大阪の市街地はEV重点地区にしてはどうでしょうか?欧州のノルウェーは新車の88%がEVです。しかし、保有率で見ると11%程度です。EVは大都市部に集中していて地方都市ではガソリン車が堂々と走っています。

だから東京都区部と大阪市はEVを走らせて、山口市には大きな補助金を投入して生活支援できればいいのですが…。

今回言いたいのは、政府は十年一日「全国平均」の指標で物事を考えてきましたが、成熟時代であればもっとデータを細かく見て、ピンポイントで消費者が補助金の恩恵を実感できる、いわばマーケティング感覚を磨いてほしいと思います。百数十年前まで日本は240の藩という都市国家の集合体が個別独自に運営していました。ここに戻したらどうでしょう(天下の暴論)。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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