COCと独立経営<868>ガソリンで儲け過ぎ – 関 匤

岸田首相が、国民民主党と連携して国会でガソリン税の「トリガー条項解除」を審議するようです。
ガソリン補助金投入は6兆円規模に達しています。「石油村」に住む者としては世間様にいかがなものと思う日々です。6兆円を自動車業界に投入すれば、テスラを圧倒するハイブリッドやEVを開発して、そこに関連する膨大な雇用を実現したのではないでしょうか。
トヨタと出光の全固体電池が一気に早まったかもしれません。

ガソリンはコモディティであってSS経営者が独自開発した商品ではありません。「供給最後の砦」とか「サプライチェーン」を叫んでも、過去の石油危機や災害時に“自力”でモノを入手できた会社はありますか?

COCの独立経営者ですが、本当の供給危機時には関東から名古屋まで自社ローリーを走らせた人がいます。玉を持っている商社から、キャッシュオンデリバリーの取引関係で優先的に供給された会社もあります。
ほとんどのSS企業はポンプを介して右から左に手渡しする「手数料(粗利)商売」というのが実態です。間違っていますか? ガソリンに関していえば、元売を親として特約店―サブ店にいたる商売です。

こんなことを書くのは、私自身が石油村利権で生きている人間ではありますが、ガソリン補助制度以降、ガソリンで儲け過ぎていると懸念しているからです。「懸念」とは、補助金という“麻薬”が切れたとたんに元売からSS企業まで一気に淘汰の嵐に直面するのではないかという懸念です。

10月末、和歌山県のPBSSは「149円」で競争していました。実数は書きませんが、セルフ+PBなりの粗利を確保していました。同時期に某県に行ったら、系列特約店SSの店頭看板は「180円」でした。消費者に問われたら、ブランド料を差し引いたとしても、この価格差は説明不可能です。
岸田首相が「175円」という再販価格指示を行ったことは禍根を残します。政府が「シーリングプライス(天井価格)」を示したことにより、国内ガソリン市況を175円までなら「適正」としてしまったからです。

コモディティを右から左に流しているだけで経営が成り立つのはおかしいのです。
これがメーカーや総合商社なら分かります。しかし、中小企業が「市況商品+補助金オマケ」でいつまで経営が成り立つのでしょうか? 成り立つならば、石油産業はもはや旧ソビエト連邦のコルホーズやソホーズ(国営農場)と同様です。

持論として何度も書いていますが、SSを「ガソリン販売業」とは考えていません。文字通り「サービス・ステーション」と考えております。
十把一からげに「SS業界」を捉えてもいません。石油村で「最後の砦」と大声を上げる人たち(ノイジーマイノリティ)がいる一方で、彼らの「サブ卸し利権」で高い仕入れをする1SSが、知恵を駆使してコモディティ依存脱却を図っています。

補助金が切れて「禁断症状」が業界を襲った時に、脱コモディティを試行錯誤していた人たちが企業規模の大小関係なく、本当のサービス・ステーションとして消費者の支持を得ることでしょう。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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