COCと独立経営<875>製造から流通まで“自動車業界の変” – 関 匤

本当に自動車業界では事件続きです。

2023年は、中古車販売でビッグモーターの手練手管が暴露されて、連日マスコミが大騒ぎしました。
この問題と同時並行で、メーカーのダイハツが車両認証で不正があったと公表したのですが、その舌の根も乾かぬうちに国内販売2車種で不正があったと追加公表しました。しかも後者は、トヨタにOEM供給するハイブリッド仕様車とあって、問題はトヨタブランドに飛び火しました。

今年1月には、なんとダイハツを含むトヨタグループ総本山での不正検査発覚です。
「豊田自動織機はフォークリフト用エンジンの排ガス認証試験で不正があった問題で新たにトヨタ自動車などに向けたエンジンの出力試験でも法規違反が明らかに。トヨタでは29日、該当エンジンを搭載する車両の出荷を停止することを決めた。グローバルで10車種、国内6車種に上る。日野自動車も対象エンジンを積むトラックの出荷を停止する。」(日刊工業新聞)

検査不正で思い出すのが、2015年のフォルクスワーゲン(VW)によるディーゼルとガソリンエンジンの検査不正です。
検査時だけ排気ガスをコントロールするソフトウェアを搭載するなどで、排気ガスのNOx(窒素酸化物)と、CO2(二酸化炭素)排出量数値の不正をしていました。

欧州では90年代から「ディーゼル車」を環境対策車に位置付けてきましたが、この事件で崩壊しました。
そしてその後は、欧州首脳がうるさいほど「EV」を連呼する電動車にEU戦略は舵を切りました。「2020年からガソリン車の販売を禁止する!」と全首脳が口にしました。

結局、VWの検査不正が今につながる「カーボンニュートラル」と炭化水素に対する“魔女狩り”を世界的に煽り立てる一因になったことは間違いないでしょう。

しかし私は、自動車産業がモラルハザードを起こしているとは思いません。
製造した車種が世界中の利用客の厳しい評価にさらされるからです。トヨタは米国でレクサスやプリウスのブレーキペダル事故が起きていましたが、家族4人が「ブレーキが効かない!」と絶叫する音声動画とともに衝突事故で全員死亡しました。
当時の豊田章男社長ら経営陣が米議会公聴会で厳しい非難にさらされました。全世界で1000万台がリコール対象となりました。和解金に1200億を要しました。

この時の恐ろしさはトヨタ経営陣の身に染みているはずです。
SSや車販という下流にいる私が気になるのが、ダイハツや日野自動車を傘下に収めて業態の異なる自動車製造に何か問題はなかったという常識的な話が1つ。

もう1つは、2018年頃から始まったトヨタディーラーのブランド統合です。

「国土交通省中部運輸局は、ネッツトヨタ愛知の販売店(プラザ豊橋)の不正車検に対する行政処分を発表した。法令違反の対象台数は5158台。この店で18年12月22日~21年1月13日に車検を行ったすべてに当たる。」(東洋経済2021年4月)
この時期に全国で11社12店舗が不正車検を起こしています。少なからぬ車検検査員が書類送検される事態となりました。

ブランド統合は悪いことではないのでしょうが、それまですみ分けていた4ブランドが同一商圏でまともに車検を取り合うことになります。店舗が近くても共存していたのが「カニバリズム」(共食い)に陥ったために台数を急いだのかもしれません。
石油村にとっても対岸の火事ではありません。自動車市場の回復を望んでいます。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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