COCと独立経営<562>カーケアの元売的発想-関 匤

某元売販社が、車検の通常価格を“実績のない定価”を前提に大幅値引きと訴求するチラシを出し続けていたことで、公正取引委員会から景表法違反で注意されました。

存在しない定価を前提に値引き価格を表示するのは、90年代の価格破壊ブームによく使われた古典的な手法でTV通販の宝石類できわどく存在しますが、まだやってんのと驚きました。

昨年は、二つの元売販社がペーパー車検をやっていて、指定工場を取り消される事件が起こっています。なにかとコンプライアンスを口にする元売が、SSのカーケア信頼性を貶めてくれます。

COCの某PB経営者が系列店経営者と懇談しました。テーマはカーケアです。この領域は、系列とかPBとか全く無関係です。ガソリン無関係のディーラーやカーショップ、専門店とのせめぎ合いの世界ですから、小売経営の才覚次第です。自身の方針に従って店づくり、スタッフづくりにまい進しながら、先進的な業態のノウハウを学び、興味のある仕組みや方法論を持つチェーンと提携するなど真面目な経営者ほど日々改善を進めることができます。ただ、系列店によると、元売の意にそわないシステムや方法論の導入にブレーキがかかることがあるそうです。それと、オンラインPOSです。ガソリン顧客管理主体に設計されていて、カーケアの顧客管理で不都合があるそうです。

系列管理で、カーケアほど元売の組織形態に馴染まないものはないと思います。石油精製・流通管理のメーカー型組織です。巨大な石油売上げに対して、カーケア部門は微々たるウエートしかありません。一方、ガソリン主体に系列を拘束するという発想に立てば、リテールサポートという名の支援プログラムも必要になります。そこでオイル、タイヤ、バッテリー、洗車等々の“系列化”が古くから存在します。

これが実効性を持ったかは、現在のSS経営の困窮ぶりを見れば想像がつきます。系列販売の要は、系列であることが利益を生むこと。残念ながら、数多くのSSでカーケア収益が人件費をカバーできない実情です。

利益を上げるSSは、経営者と現場スタッフの努力によるもので、元売プログラムが機能しているわけではありません。本来は努力にふさわしい収益が出るのに、元売を経由することで利幅が圧縮されるという残念な実態もあります。

系列の存在意義が「最大多数の最大幸福」とすれば、系列で利益が担保されることが不可欠になるはずです。現状の石油系列は、コンビニ業界なら本部に対する訴訟問題になるはずです。

元売の基本思想に、ガソリンの延長線で「数量×利益」が根強くあるようです。系列SS数に対する掛け算で、オイルでもタイヤでも元売は利益が確定します。一方、マーケットで消費者に向かうスタッフには厳しい戦いになります。冒頭の問題も、数量評価ゆえに発生していると考えられます。ガソリンとカーケアは別物です。元売の数量・ガソリン系列縛りの発想は、生業的・属人的性格の強いカーケアの実態とそぐわないものなのです。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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