COCと独立経営<572>進化する系列・しない系列-関 匤

すでに話題になっていますが、毎日新聞が国民生活センターへの取材を元に「ガソリンスタンド「不安あおる」「整備トラブル相談急増」と書きました。生活センターにはSS油外絡みのトラブル相談が2013年頃から急増して、年間60―70件で推移しているそうです。

書いたのは毎日新聞だけです。朝日や日経に比べて購読部数の影響力は少ないのですが、今はネット社会です。カーケアに熱心な経営者から「スマホにこんなニュースが出た!」と連絡してきました。(ちなみに私はガラケーです)毎日一紙に止まらず情報が拡散するのです。重く受け止める必要があります。

以前、若葉マークの無知な学生にオイル交換で24000円請求した元売直営SSのことを書きました。学生のお爺さんからは私が業界を代表して怒鳴られました。一方、「売らなきゃSS経営が成り立たないよ」という気持ちも理解できます。

突き詰めると、戦略も戦術も基本思想も変化対応できていないために、消費者と業界にズレが生じていると考えられます。タイヤでいえば、80年代頃はパンクが頻繁に起こりSSは修理に便利な場所でした。私自身、路上でジャッキアップして交換した経験が5回はあります。しかし、90年代以降、パンクは下手なカーブをして縁石エッジで側面を切った1回きりです。運転すればタイヤはパンクするものと考えていた時代ではないのです。

SSの多数は系列店ですから、元売の責任は重いと言えます。昔ながらのキャンペーン、やってもいいけれど、SSスタッフとお客の都合を考えているのでしょうか。系列店経営者から「お付き合い」という言葉が聞かれます。明らかにガソリン仕切価格と元売油外は「抱き合わせ関係」と認識されています。

結果として、SS油外の方法論・商品論が検証されることもなく、SSスタッフと消費者に負荷をかけることになります。悪しき数量志向です。だから、ペーパー車検や整備不良で事故を起こすなど、国交省のネガティブリストに晒されるのです。

ところで、パナソニックが、いわゆる街の電器屋さん「パナソニックショップ」の再編成・強化に乗り出しています。

パナショップは家族経営店が多数を占めますが、店主の高齢化と後継者不足により今後5年で3割が存続できない可能性があります。一方で3割が成長志向を持っています。そこで縄張り的な考え方から脱却して、パナソクニックが商圏継承を支援するそうです。

明らかにパナショップ存続を戦略的に考えています。家電製品販売に占めるパナショップのシェアは2割程度に過ぎません。しかし、国内市場の成熟化で製品販売が鈍化することと高齢者の増加を意識して、アフターマーケットの強化を図っていると思われます。最寄にあって駆けつけてくれるパナショップの存在を再認識しているのでしょう。

しかし、同じ系列店政策ながらパナソニックの方が時代に対応しています。例えば、①家電製品、②ネット環境整備・相談、③家電製品点検・修理、④電気・ガス・電話工事、⑤IHエコキュート、⑥消耗品・便利品、⑦リフォーム、⑧補聴器、⑨エコ家電、⑩ホームセーフティ(家庭警備)、⑪太陽光、⑫新築建替え相談、⑬一眼レフなど、デジタル時代の家庭生活ニーズへの対応力を整備しています。

家電メーカーは系列店に数量を期待していません。成熟時代に支持されるアフターサービス網です。多様なニーズに家族経営ならではの機動力で対応しながら、商圏の消費者に認められ、結果として家電店に利益がもたらされることです。昔は家電製品の販売系列でしたが。量販店やネットで淘汰されながらも、着実に再構築して進化しています。

昔を知る人間として、石油系列店政策に「進化」を見つけることができません。
国民生活センターで、SSが詐欺や架空請求の苦情と同列に扱われるなど大恥です。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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