vol.771『ソフトバンク関連のおはなし』

あまり振り返りたくないが、今年の日本シリーズは福岡ソフトバンク・ホークスが、読売ジャイアンツを4タテで下し、3年連続優勝となった。昨年同様パリーグ2位だったホークスにまったく歯が立たなかったわけで、ジャイアンツの戦力・戦術うんぬんを飛び越えて、パ・リーグとセ・リーグの力の差がどんどん開いているのではないかと評論家たちが論じている。

確かに、日本シリーズではこのところ、パ・リーグ球団が7年連続で日本一になっている。セ・パ交流戦でもパ側が10年連続で勝ち越し。彼我の力量の差は開くばかりで、もはやパが1部リーグ、セが2部リーグの様相を呈している。ひと昔前は、「人気のセ、実力のパ」などと言われていたが、これはガラガラの球場でプレーをするパの選手たちを気の毒がったセの関係者が“上から目線”で送ったいたわりの言葉。しかし、いまや観客動員数をグイグイ伸ばしているパが「人気も」セを上回ろうとしている。

例えば、ホークスは今年過去最高の265万6千人の観客動員数を記録した。3百万台の巨人、阪神に次ぐ数字で、強いパ・リーグの“盟主”と呼べる存在になりつつある。最近、ホークス関連のこんな記事が─。

『ソフトバンクは1日、福岡市内にある本拠地の命名権でスマートフォン決済アプリなどを運営するペイペイと合意し、来季から球場名を「福岡ペイペイドーム(略称ペイペイドーム)」に変更すると発表した。2013年から、ヤフオクドームとして親しまれてきたが、球団の親会社のソフトバンクグループは、ペイペイに50㌫を出資している。既に球場内でもペイペイの決済を取り入れており、命名権の取得で一層の知名度向上を狙う』─2019年11月1日付「日本経済新聞」。

すでに、楽天はイーグルスの本拠地「楽天生命パーク」での飲食物やグッズの販売を“完全キャッシュレス化”した結果、球場内での売上げが対前年比15㌫も伸びたという。「ペイペイドーム」でも、キャッシュレス決済を活用した様々なサービスが実施されるだろう。この分野においても、パのほうが進んでいると言えよう。それにしても、「ペイペイドーム」って…個人的には“なんだかな~”って感じ。

電子決済「paypay」は、派手なキャンペーンを矢継ぎ早に展開した結果、1年足らずで140万店の加盟店を獲得し、いまやホークス同様快進撃を続けており、スマホ決済で独り勝ち状態となっているとのこと。GS業界でも、クレジットカードからQRコード決済へと変容するのをにらんで、給油システムの開発が進んでいる。そのうちスマホ決済しか受け付けないセルフGSが登場するかも…。

ところで、ホークスの親会社ソフトバンクグループは、7~9月期の連結決算で、7千億円超の大赤字となった。10兆円を運用するファンド事業で1兆円弱の損失が発生したことが原因とのこと。東京ドームで胴上げされていた孫社長だが、6日の会見では決済内容を「ボロボロでございます」と評していた。この状況を「一過性のもので心配なし」とする人もいれば、「拡大路線がついに蹉跌した」と言う人もいる。昨年度の総売上高は9兆6千億円。一方、有利子負債は15兆円。スケールがデカ過ぎて理解不能だ。

頼みの綱は今なお保有株の4割を占めるアリババの含み益だが、米中対立激化で株価が弱含んでおり、資金繰りを不安視する声もあるという。ともかく“親亀コケたら…”じゃないけれど、業績悪化が続いて、ホークスの成績や、「paypay」のサービスやセキリティなどに悪い影響をもたらすことがないよう、孫さんには頑張ってもらうしかない。当のご本人は、「危機の時こそ生きがいを感じる」と意気軒昂だが…。

 セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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