vol.773『エルシーシステム』

2週間、コラムを書くのをサボった。別に、毎週必ず書かなくちゃいけないと言うわけではないけれど、15年も飽きもせず続けてきた習慣なので、書かないと何となく罪悪感のようなものを感じたりする。だれに迷惑かけているわけでもないのだけれど…。

で、なぜ2週間お休みさせてもらったかというと、新製品として開発中だった、スマホ決済ができるセルフ給油システムが完成し、リリースすることになったため、その準備等で物理的にも精神的にもいろいろと忙しかったからだ。

前回のコラムでスマホ決済ができる外接端末機があれば、セルフスタンドでのキャッシュレス化は急速に促進されるだろうと書いた。その最中に、そのシステムの開発に励んでいたわけで、“受け売り”と揶揄されても仕方ないのかもしれない。

で、どんなシステム作ったのと問われれば、外接端末機の液晶画面に「PayPay」と「LINE Pay」の選択ボタンが表示され、どちらかを選択したあと、購入金額を設定して、QRコードリーダーにスマホをかざして決済し給油するという、至って単純な仕掛けである。

仕掛けは単純なのだが、開発にはクリアしなければならない問題が幾つもあって、開発チームの皆さんは大層苦労なさった。構想およそ、2年。とにかく現金と2種類のQR決済「ペイ」に特化することでローコストのPOSシステムを製品化できた。製品名は「エルシーシステム」。

もっとカッコイイ名前を付ければと言われたけれど、とにかく『ローコスト』であることがキモとの思いから、頭文字を単純にくっ付けて「エルシー」とした。近い将来、ホームページを新設して広く宣伝したいと思っているが、それまで待てないという方は、ファックスかメールでお問い合わせいただければ、ご案内させていただきます。遠慮なくどうぞ。

キャッシュレス決済の主流となるコンテンツが、スマホなのかクレカなのかフェリカなのか、はたまた新たな決済ツールに取って代わるのか、いまだはっきりとしない。普及率から言えばクレカだし、機能性ではフェリカだろう。しかし、現時点での“勢い”から見れば、やはりスマホペイではないだろうか。

「将来、手数料が取られるようになったら、その時考えればいい。いまはとにかく「ペイ」でしょ。テレビCMでガンガン宣伝し、派手な販促キャンペーンをやってくれる。全部向こう持ち。こちらは“○□ペイ、使えます”というノボリを上げるだけで、お客さんが来てくれるんですから」とは、今回、「エルシーシステム」開発に携わったあるGS幹部の言葉。

確かに、エネオスのCMは、来る東京五輪のオフィシャルスポンサーとしての企業イメージを高めるのが専らで、系列GSにお客を呼び込むための宣伝とは言い難い。一方、「ペイ」のほうは、キャッシュバックの大盤振る舞いを連発し“加盟店にあらずんば小売店にあらず”と言わんばかりに、消費者たちを“勧誘”している。確かに、この波に乗らない手はないだろう。

いまや、私たちの生活にスマホ・タブレットは欠かせない。体の一部と言っても過言ではない。しかし、どれだけ高機能のアプリであっても、立ち上げるのに手間がかかるようでは敬遠される。ワンタッチで「ピッ」、そしておトク─。大半の消費者はそれで十分なんじゃないだろうか。「エルシーシステム」は、そんなシンプルなコンセプトに基づいて作られた、本邦初のスマホ対応給油システムである。

 セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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