vol.847『接種!』

政府は28日,コロナウイルス第4波で9都道府県に出した緊急事態宣言の延長を正式に決めた。新たな期限は6月20日で,その1ヵ月後には東京五輪の開幕が迫る。五輪開催に懐疑的な世論が高まる中,菅首相はあくまでオリンピックを成功させ,その勢いで衆院を解散して勝利し,秋の自民党総裁選の再選につなげるとのシナリオを描いているらしい。果たして思惑通りに行くか。すべてはいよいよ始まったワクチン接種の成果にかかっている。しかし,5月10日現在 日本で少なくとも1回目の接種を受けた人の割合は2.4㌫でOECD加盟37ヵ国中最下位。政府は7月末までに65歳以上の高齢者の接種を完了したいとしているが─。

すでに全国民に2回接種するに足るワクチンは確保されているとのことなので,あとは接種のスピードなのだが,大都市では担い手不足が問題となっている。ワクチン接種は医療行為にあたるため,医師や,医師の指示を受けた看護師などが行うよう法律で定められているのだが,それではとても間に合わないということで,薬剤師や救命士,果ては医大や看護学校の“学徒動員”も検討されているとのこと。まあ,テレビで見る限り,注射器をブスッと刺すだけだから,そんなに難しい作業だとは思えない。できる人は自分で打ってもいいんじゃないかとさえ思える。注射もセルフで─。

もうひとつの問題は接種会場。東京都は,来月8日から一日5千人の接種を行うべく,築地市場の跡地に大規模接種会場を設営中だが,この場所は五輪開催中の輸送車両の拠点となっており,大会の準備が本格化する前には空けなければならないとのこと。そのため,来月末には会場を撤去しなければならず,2回目の接種は別の場所を手当てして行わなくちゃいけないらしい。何をやっているんだか…。こんなことだから“ちぇっ!またオリンピックかよ”ということになり,ますます五輪への忌避感が高まってしまうのではないか。

例えばニューヨーク州では今月12日から試験的に主要な鉄道や地下鉄の駅8ヵ所にワクチン接種を予約せずに受けられる会場を設けた。これらの会場で接種した人には,地下鉄に1週間,無料で乗れる乗車券が配られ,ニューヨーク州は1ヵ所につき一日最大で300人の接種を見込んでいるという。ほかにも,野球場や博物館,テーマパークなども接種会場として活用。柔軟性に加え,サービス精神や遊び心も盛り込んでのワクチン接種作戦,さすが米国ですな。しかし,人口100万人当たりの死者数が100人弱の日本に対し,米国は約1,800人とケタ違い。日本のコロナ禍が“さざ波”だとする意見には一理ある。

日本でもどんどん接種会場を増やしてゆく必要があるが,GS業界はお役に立てないものか。タイでは政府系エネルギー会社バンチャーク・ペトロリアム社が傘下の1,200を超えるGSを接種会場として利用することを提言したという。日本にもセルフスタンドだけで1万ヵ所ぐらいある。私の店のような小さなスタンドはともかく,馬鹿みたいに広くて(失礼)スペースを持て余し気味のGSなどは接種会場として活用できるのでは。屋外施設だから換気は抜群,ドライブスルー接種ができれば言うことなし。接種した方にはガソリン10㍑無料券をもれなく配布…ってのはどうですか。

そもそも,去年のいまごろオリンピックを一年延期したのは,その間にワクチン接種を進めてコロナ禍を収束させるから,ということだったはずなのに,目論見は完全にはずれ,厭戦ムードの中でパンデミックを繰り返し,いまや2倍の感染力を持つインド株変異種がじわじわと拡がっている状況。また,ベトナムではインド型と英国型が合わさった新たな変異株が発見されたらしい。五輪大会後にはさらに強力な「TOKYO株」が発生したりして…。オリンピックをやるかやらないかはさておき,ワクチン接種は官民一体となってスピードアップさせてほしい。飲食店は“瀕死”の状態に陥っており,GS業界も宣言延長がボディブローのように効いてきている。親しいGS経営者も“売れない,利幅ない,やる気出ない”とぼやいていた。同感です。

政府は28日、コロナウイルス第4波で9都道府県に出した緊急事態宣言の延長を正式に決めた。新たな期限は6月20日で、その1ヵ月後には東京五輪の開幕が迫る。五輪開催に懐疑的な世論が高まる中、菅首相はあくまでオリンピックを成功させ、その勢いで衆院を解散して勝利し、秋の自民党総裁選の再選につなげるとのシナリオを描いているらしい。果たして思惑通りに行くか。すべてはいよいよ始まったワクチン接種の成果にかかっている。しかし、5月10日現在 日本で少なくとも1回目の接種を受けた人の割合は2.4㌫でOECD加盟37ヵ国中最下位。政府は7月末までに65歳以上の高齢者の接種を完了したいとしているが─。

すでに全国民に2回接種するに足るワクチンは確保されているとのことなので、あとは接種のスピードなのだが、大都市では担い手不足が問題となっている。ワクチン接種は医療行為にあたるため、医師や、医師の指示を受けた看護師などが行うよう法律で定められているのだが、それではとても間に合わないということで、薬剤師や救命士、果ては医大や看護学校の“学徒動員”も検討されているとのこと。まあ、テレビで見る限り、注射器をブスッと刺すだけだから、そんなに難しい作業だとは思えない。できる人は自分で打ってもいいんじゃないかとさえ思える。注射もセルフで─。

もうひとつの問題は接種会場。東京都は、来月8日から一日5千人の接種を行うべく、築地市場の跡地に大規模接種会場を設営中だが、この場所は五輪開催中の輸送車両の拠点となっており、大会の準備が本格化する前には空けなければならないとのこと。そのため、来月末には会場を撤去しなければならず、2回目の接種は別の場所を手当てして行わなくちゃいけないらしい。何をやっているんだか…。こんなことだから“ちぇっ!またオリンピックかよ”ということになり、ますます五輪への忌避感が高まってしまうのではないか。

例えばニューヨーク州では今月12日から試験的に主要な鉄道や地下鉄の駅8ヵ所にワクチン接種を予約せずに受けられる会場を設けた。これらの会場で接種した人には、地下鉄に1週間、無料で乗れる乗車券が配られ、ニューヨーク州は1ヵ所につき一日最大で300人の接種を見込んでいるという。ほかにも、野球場や博物館、テーマパークなども接種会場として活用。柔軟性に加え、サービス精神や遊び心も盛り込んでのワクチン接種作戦、さすが米国ですな。しかし、人口100万人当たりの死者数が100人弱の日本に対し、米国は約1、800人とケタ違い。日本のコロナ禍が“さざ波”だとする意見には一理ある。

 

日本でもどんどん接種会場を増やしてゆく必要があるが、GS業界はお役に立てないものか。タイでは政府系エネルギー会社バンチャーク・ペトロリアム社が傘下の1、200を超えるGSを接種会場として利用することを提言したという。日本にもセルフスタンドだけで1万ヵ所ぐらいある。私の店のような小さなスタンドはともかく、馬鹿みたいに広くて(失礼)スペースを持て余し気味のGSなどは接種会場として活用できるのでは。屋外施設だから換気は抜群、ドライブスルー接種ができれば言うことなし。接種した方にはガソリン10㍑無料券をもれなく配布…ってのはどうですか。

そもそも、去年のいまごろオリンピックを一年延期したのは、その間にワクチン接種を進めてコロナ禍を収束させるから、ということだったはずなのに、目論見は完全にはずれ、厭戦ムードの中でパンデミックを繰り返し、いまや2倍の感染力を持つインド株変異種がじわじわと拡がっている状況。また、ベトナムではインド型と英国型が合わさった新たな変異株が発見されたらしい。五輪大会後にはさらに強力な「TOKYO株」が発生したりして…。オリンピックをやるかやらないかはさておき、ワクチン接種は官民一体となってスピードアップさせてほしい。飲食店は“瀕死”の状態に陥っており、GS業界も宣言延長がボディブローのように効いてきている。親しいGS経営者も“売れない、利幅ない、やる気出ない”とぼやいていた。同感です。

 セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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