vol.655『朝鮮半島情勢』

米空母「カールビンソン」が数隻の駆逐艦を引き連れて、朝鮮半島沖に進攻中だ。日本ではゴールデンウィークが始まる頃に、もしかしたら戦争が勃発するかもしれない。“そんなことは起きやしないよ。最後は中国があいだに入って北朝鮮にも米国にも矛を収めさせるだろうよ”というのが大方の予想だが、世界はかつてない混沌とした状況にあり、あす、どんなアンビリーバボーなことが起きても不思議ではない。

AP通信が22日に報じたところによれば、平壌市内ではガソリン供給に障害が生じており、GSには給油待ちの車の長い列ができているとのことだ。来るべき決戦に備えて備蓄されているとの観測や、中国が制裁の一環として原油パイプラインに手をつけたのではないかとの見方もあるが、理由は不明だ。ちなみに、北朝鮮ではガソリンの単位はキログラムだそうで、ガソリン1㍑はだいたい0.75㎏。販売制限により、最近まで1㎏70~80米セントだった価格は、1.25㌦と7割以上高騰しているという。日本の通貨と単位に置き換え、北朝鮮のレートで換算すると1㍑あたり…暇な方は計算してみてください。

朝鮮半島で一朝有事の際は、日本においても物理的被害がもたらされると予想されている。今月22日に、北朝鮮による弾道ミサイルが国内に着弾した場合に備え、政府は全国の危機管理担当者を集めた説明会を都内で開いた。ミサイルが着弾するおそれがある場合、全国瞬時警報システム「Jアラート」が作動し、携帯電話にメールが届くほか、自動的に各自治体の防災行政無線が起動し、警報が流れる仕組みになっているのだそうだ。

しかし、いきなりケータイやスマホから「ミサイルが着弾する恐れがあります!」なんてメッセージが流れても、どうしていいやら分からない。内閣官房の「国民保護ポータルサイト」によれば、『屋外にいる人は、頑丈な建物や地下街に直ちに避難したり、屋内にいる人は、できるだけ窓から離れたりする』よう指示されている。まあ、実際、それぐらいのことしかできんわな。それにしても、戦後72年経って、再び“空襲警報”が発せられるかもしれないなんて…。

日本のGSは、世界有数の厳しさと言われる消防法のもと、堅牢で耐火構造に優れた建築物として避難所に適しているとされている。事実、1995年の阪神大震災においては、被災地のほとんどのGSが直下型地震に耐え、防火塀が延焼を食い止めるなどの役割を果たした。ただし、ミサイル攻撃による衝撃に耐えられるかどうかはわからない。いずれにせよ、そんなことが起きないことを祈るばかりだ。

しかし、まことに不謹慎なことに、市場関係者の間では「有事によって経済が上向く可能性」が囁かれている。日本の戦後復興に大きく貢献したのは、1950年に勃発した朝鮮戦争を受けた「朝鮮特需」であることは紛れも無い事実だ。当時、日本は米軍を主力とする国連軍の出動基地となり、兵器やその材料となる鉄鋼や軍用物資などの買い付けで、重厚長大型の産業などが大いに潤い、日本経済が戦後の混乱期を脱するきっかけになった。

戦争が景気を活性化させるという悲しい現実。人類が戦争をやめられない理由の一つだろう。すでに、防衛関連銘柄などが高値を更新しているという。また、大量の難民流入を見込んで、プレハブ会社や建機レンタル会社などの株価も値上がりしているとか。しかし、本当にドンパチ始まったら株価は全面安になるだろうとも。ガソリンは出荷制限が実施されるかもしれないし、玉はあってもどえらい高値になるかもしれない。そもそも、ミサイルが飛んでくるかもしれないような状況になれば、行楽地へお出かけなんてムードは吹っ飛んでしまい、ガソリンはますます売れなくなるかも。とどのつまり一寸先は闇ということ。やはり戦争はよくない。

来週のコラムはお休みします。次回はweb版は5月8日、新聞版は5月12日に掲載予定です。平安であれば…。

セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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