COCと独立経営<669> 中間流通の変化と消費者事業 – 関 匤

九州の豪雨は凄かったですね。佐賀市中心街が広域に冠水している映像には驚きました。

九州のCOC会員に確認したのですが、施設には被害はありませんでした。しかし、交通網に支障が起こっていることと雨が長期化しそうなので安心はしていませんでした。天候不良で販売面でも相当影響が出ています。

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先般、ある商社の方と話しましたが、先行きに対してかなり悲観的でした。

先行きとは自分の会社の先行きです。中間流通が機能しなくなったと嘆いていました。元売の再編効果です。合併すると相互の基地利用で物流費が効率化され、同時に特約店向け直送が拡大します。同時に原油コスト連動の卸価格体系を採用しました。私は「出荷時点利益確定方式」と呼んでいますが、原油高騰時にぼろ儲けはできませんが、常に原油価格と一定の利幅を維持できます。

さらに「出荷コード」です。ガソリンに関しては、ほぼ100%行われています。2014年に全石連が大騒ぎした業転排除の「流通証明問題」がありました。私は全石連が“露払い役”を担ったのではないかと思っています。

出荷コードは、「元売―商社」で完結した商流を「元売―商社―SS」と最終届け先まで登録しています。昔、系列特約店が使った手口ですが、サブ店向けとしながら実際の仕向け先をPBにするやり方は通用しません。発覚すればコード停止になりかねません。

良く言えば、廃棄物処理のマニフェスト制度の応用なのでしょう。

そして、出光昭シェル登場です。商社が流通の本丸としてきた基地業者の資本を押さえてしまいました。石連統計で1―3のガソリン輸入は前年並みでしたが、出光昭シェル誕生後の4―6は大幅に減少しています。「タンク基地効果」が現れたのではないでしょうか。

こういう環境変化の中で、新規事業に取り組む商社が増えています。石油以外に飯のタネを求めています。

もっとも、商品と商品の中間で利ザヤを稼ぐというビジネスモデル自体が“オワコン”(終わったコンテンツ)になっています。

総合商社の組織図を見て驚きます。昔の総合商社は石油でも鉄でも、グイグイと商取引に食い込んで薄利でも売上高をかさ上げするのが一流商社マンでした。直近では、資源関連に投資して流通と配当で利益をあげるビジネスモデルでした。

ところが今は、「生活産業」、「次世代機能推進」、「住生活」、「メディアデジタル」、「複合都市開発」…といった名称の事業部門が並んでいるのです。最近、伊藤忠商事が「第8カンパニー」を立ち上げました。他カンパニー間を横断して、AI、IoTも駆使しながら消費者相手のビジネスを立ち上げていくそうです。商社マンが最終小売りの世界に入り込んできています。

国内の石油流通は、成熟と余剰縮小によってプレーヤーが後退しつつある事実を認めざるを得ません。元売が大量のローリーを調達しているので、PB流通も元売物流に組み込まれていくでしょう。

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COCに関わるものとして、決して悲観しているわけではありません。安値業転を仕入れて安値量販するビジネスモデルは10年前には、それこそオワコンでした。元売直営や系列に取って代わられたからです。

実はガソリンに対する意識変化とともに、効果的な利益事業を生み出す方も少なくありません。

系列・非系列問わず、事業者間の意識に温度差が目立っています。再編元売との関係からガソリンを増やさなければならない考え方と、ガソリンは小売りの1ツールと見なす考え方に大別されます。中小企業は後者を選択して、今の総合商社じゃないですが消費者相手の利益事業を考えるのが賢明と思います。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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