COCと独立経営<685>CASEが絡む自動車流通の変動 – 関 匤

COCの会員ではないのですが、長年付き合いのあったSS経営者が元売系列大手にSSを委譲しました。不動産収入に加えて元々やっていた事業をファミリービジネスで継続しています。

重荷が取れて明るい表情でしたが、「大手がやったらガソリン倍増だぞ」と驚いていました。今の時代、倍増すれば誰かがへこんでいます。集客促進すれば、カード客が増加するのです。系列内競争を実感しました。

元売のカードは、経営者が自腹を切らない限り値引き額やポイント付与は決まっています。昔のように特約店独自発行クレジットがほとんど見かけないので、カード客は同じマークなら立地・設備・価格優位に動くということです。

こういうことはすでに認識されているので、油業報知新聞の記事でも独自のカーケアや異業種との提携という記事が増えています。COCでも、温度差はありますが、カーケアは突出した人たちがいます。経営者の頭の7、8は自動車で占められています。

自由化時に系列サブ店だった方は、「本籍地SS、現住所自動車」と言うほど石油村に無関心になっています。ガソリン安売りをしてもいないのに、石油村では“PBだからゴンタ”と呼ばれます。しかし、自動車の世界ではメーカーから副特約店を戴く評価です。世界の違いを感じます。

ただし自動車に熱心な方々は、今後に対して物凄い危機感をお持ちです。

1つの大きなきっかけはトヨタのディーラー4ブランド統合です。これは元売再編と同じで、これからトヨタ系列内競争に入るはずです。トヨペット店がカローラを、カローラ店はアルファードを扱うことになります。いわばJXがシナジーカードを、TGがエネオスカードを受け入れる構造と同じです。

冒頭の系列内競争と同じく、ディーラーの優勝劣敗が明らかになります。それを見込んでか、東京ではメーカー直径ディーラーが大規模統合し、愛知ではM&Aで大型ディーラーが誕生しています。

ディーラー内で終われば良いのですが、これまた石油と同じく、メーカーは「2025年問題」として25年までに自動車保有台数がピークアウトすると見ています。団塊世代の免許自主返納もありますが、日々目にする「CASE」(IT接続・自動運転・シェアリング・EV)が市場に影響を及ぼすことになるからです。

需要成熟と精製縮小で、業転市場が圧迫されて中間流通の石油商社の機動性が失われつつあります。同じように、私が心配するのは自動車の業販市場です。

SSはディーラーの業販卸しで新車を販売することができます。高度成長期にディーラーでは賄いきれないために業販市場が拡大して、独立系自動車販売が成長しました。この領域にどう影響するのか注目しています。

CASEの流れで、車検が電子化されます。自動運転車検査のOBD車検の要件を持たない整備工場は淘汰されます。カーケアにも大きな影響が出ます。ディーラーが、SSなど汎用市場を囲い込む戦略に出るのは間違いありません。

そしてCASEのカギを握るのが消費者のスマホです。アマゾンのように発注から決済まで手のひらで完結してしまいます。SSとITの融合が課題かなと考えています。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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