COCと独立経営<731>ガソリン市況話はやめられない – 関 匤

今年がCOCの設立30年なので、過去のCOC会報を整理していたところ、興味深い「提言」が見つかりました。

2002年1月に資源エネ庁石油流通課がまとめた「石油流通研究会報告書」です。

石油組合の活動について、こう述べています。「率直に言って、中長期的には、「市況環境対策」を柱とする組合活動の有効性は失われる一途であり、組合活動の方向性について抜本的に見直すことが必要と思われる。組合活動の方向性の見直しについては、組合自身の今後の存亡に直結する重大な問題であるとの認識を関係者間で共有することが重要である。」

そして、今後の新たな組合活動の方向性として、「石油販売事業者の経営方法の転換を図ることを目的とすべきであり、事業者による経営手法の転換や経営革新の取り組みを直接・間接にサポートしていくものであるべき」としています。

私がCOCに関わり始めた頃です。18年前にしっかりした提言をしていたものだと感心しました。“いつまでもガソリンの値段の話ばかりしてるんじゃねえよ。真面目に小売経営を考えろよ“という本音が透けて見えます。当時の私は真面目に報告書を読んでいて、面白いから会報に掲載したことを思い出しました。

この提言と並行して「SS高度化事業」が行われました。COCも「石油組合」なので参加資格がある、と当時の理事長から事業参加の申請を指示されました。お国の補助金を貰うのだから仕方はないのですが、かなり面倒な資料作りに忙殺されました。

ようは組合員同士で共同事業を行い、認定された事業に補助金が出ます。COCも選ばれたのですが、業界紙で名前を見て驚いた石商関係者がいたようです。進行段階でいろんなことも起こりましたが、孤軍奮闘の割にはなかなかのマーケティング企画を作ったと自負はしています。

資源エネ庁に行った時に、担当官に「この事業は企業統合も視野に入れているの?」と聞いたら、「そうです!多すぎます」と明快に言い切りました。自由競争が及ぼす影響が半端ではないと見込んでいたのでしょう。実際、その後、凄まじい勢いでSS閉鎖や企業倒産が増大しました。

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18年経って、COCも偉そうには言えませんが、いまだにガソリンの値段話がマイブームというのが業界の大勢です。とりわけ、今年は「コロナ市況」で利幅が増えたこともあります。

18年前に提言された、「経営手法の転換や経営革新の取り組み」に真面目に取り組んだ会社はどれほどあるのでしょうか。18年もあれば業態転換を完遂して利益軸を確立して、「ガソリンも扱っていますがそれに依存していません」と胸を張っていることでしょう。

思えば、自由化の前、1994年に出された「流通ビジョン研究会報告」もSS業界への愛情に満ちたものでした。何が愛情かと言えば、その時点で「廃業」という方向性を示していたことです。

しかし、関係者の多くは「廃業」の二文字に過剰反応して報告書を批判の対象にしました。何十年も規制の壁に守られて、SSは倒産しないという「神話」があったので、廃業という言葉が相当に刺激的だったのでしょう。

逆に、COCの某会員はビジョン研報告を真面目に読んで感銘を受けます。そして、まず行ったのが元売との特約店契約解除でした。当時とは、似て非なる業態となっています。

ビジョン研といい流通研といい、ヒトの話(報告書)は聞くものだと再認識しております。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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